65. 然るべき説教

【きっかけ・ねらい】

この話は、附属高校の内部入学試験が終わって約8割の生徒の進路が決まり、気のゆるみから学級全体の雰囲気がいい加減になっていることに対して喝を入れるために話したものです。このような生徒の状態は予想されることでもあったので、事ある毎に予防線となる話をしてきました。生徒は、それが効いていたのか、表立って生活が乱れるということはありませんでしたが、授業態度や提出物、清掃活動などに対する姿勢が明らかにいい加減になっているように感じました。また、「実際の会話」の中にも出てくるような気になる具体的なできごともありました。そうした状況に対して、どうしても黙っていることができず、ここ数日で感じていたことをぶつけることにしました。

 

【手順・工夫】

今回の話については何も工夫はありませんでした。とにかく頭に浮かんだことをストレートに話すことにしました。なお、今回は最初から説教をするつもりだったので、生徒とのやりとりは考えていませんでした。

 

【実際の会話】1/19

T:先生はみんなと一日中一緒にいるわけではないので、みんなのある一面だけを見て何かを言うのは的外れかもしれないけど、一方で「一事が万事」ということもあるので、直感として感じていることを話したいと思う。

S:(何が話されるのかわからずポカンとしている)

T:多くの人が受験が一段落して…、これは予想されていたことだから事ある毎に言ってきたことだけど…、どうも最近のみんなを見ていると緊張感が無さ過ぎる。

S:(見回すと全員の顔に緊張感が走っている)

T:一例を挙げよう。さっき学級委員がファイナルコースのアンケートを採ったよね。

 学級委員さ、あれでちゃんとしたアンケートを採ったつもり?

A男・B男・C子・D子(学級委員):(驚いた顔をしている)

T:あんないい加減な説明でみんながわかると思ってるの?事情を知っている私が聞いていても何を伝えたいのかさっぱりわからなかったよ。それでみんなに書いてもらったアンケートにどれほどの意味があるんだ?

C子:(説明した学級委員):(真剣な顔でこちらを見ている)

T:あれじゃあ、とりあえず採りましたって感じじゃないか。

D子(回収した学級委員):(下を向いている)

A男(おしゃべりをしていた学級委員):(真剣な顔でこちらを見ている)

B男(我関せずの態度でいた学級委員):(下を向いている)

T:ファイナルコースがそもそも何のためにあるのかやその他の計画も説明しないで、外に出かけるところだけ話したって何のことだかわからないでしょ。

A男:(反省の色を目に浮かべてこちらを見ている)

T:みんなもそうだ。学級委員があんな適当な話をして何のことだかわかって書いたのか?それともどうでもいいことだから適当に書いたのか?

S:(半分は真剣にこちらを見ていて、半分は下を向いている)

T:(しばらく沈黙して)実は…、今日…、そういう君たちの状態を確信するためにある実験をした。それはこれさ。(出席簿を持って見せる)

S:(何のことだかわからずにキョトンとしている)

T:6時間目にね…、この出席簿をさ、育鳳館の一番後ろの座席にわざと置いておいたんだ。終わってからどうなるかってね。そうしたらどうだ。全部イスが片付けられたのに、出席簿が乗っていたそのイスだけが…、200人のイスがすべて片付けられていたのに、そのイスだけだぞ。それだけがそのまま残っていた。

E男(週番の一人):(小さな声で)やべえ…。

T:週番が忘れてしまったということもある。

F子(出席簿当番の週番):(済まなそうな顔をしている)

T:だけどね、問題はそこじゃない。なんでそれがそのまま残ってるんだ? それだけ残っていたということは、何人かの人はそれに気づいたのにそれを残しておいたということじゃないか。週番に任せておけばそれでいいのかい? それとも何かい、残しておいて、「先生が持って行けばいい」と思ったわけかい?

S:(どう反応していいかわからない様子)

T:それが今の君たちなんだよ。気づいても何もしない。人のことなんかどうでもいい。

 誰かがやってくれるだろう…。(しばらく沈黙して)掃除もそう。当番なのに知らんぷりして話している。その人の横で先生がやっているのに知らんぷりしている。その人がやらない分を当番じゃない人が手伝ってくれているのに知らんぷりしている…。

S:(真剣な顔でこちらを見ている)

T:まさかこんな状態であと2ヶ月過ごすつもりじゃないだろうな。もしそうだったら、先生は本当にがっかりだ。(次の言葉が出ずにしばらく沈黙する)

S:(沈黙に絶えながらこちらを見ている)

T:もう少し周りを見なよ。もう少し一生懸命やりなよ。提出物もしっかり出しなよ。掃除もちゃんとやりなよ。終礼をちゃんとやりなよ。そうじゃないと、みんなバラバラになっちゃうよ。(次の言葉が出ずにしばらく沈黙する)

S:(沈黙に絶えながらこちらを見ている)

T:私の言いたいことはそれだけだ。もうみんなもわかっただろうから、これ以上は言わない。後は君たち次第だ。以上。

 

【こぼれ話】

今回はこちらの意図したことがどこまで生徒に伝わったかわかりませんが、後は生徒を信じるしかありません。なお、出席簿を忘れた週番のF子が放課後に涙目で謝りに来たので、自分が怒ったのはそのためではないことを改めて説明しました。

 

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