古畑-コロンボ活動

若い先生はタイトルを読んで、「いったい何のこと?」と思われるかもしれませんね。本活動の名前は、アメリカのテレビ・ドラマ「刑事コロンボ」と日本のテレビ・ドラマ「古畑任三郎」からとりました。2つのドラマの共通点は、視聴者には最初から犯人が誰かがわかっていることで、それをいかにこの2人がうまく解決するかがポイントとなっています。

 

別ページで紹介している "What Am I?" は出題者以外は答えを知らず、他の生徒はそれを当てるために質問をしていきます。一方、この活動では仲間は最初から答えを知っています。その活動をうまく説明できるようなネーミングはないかと考えて、この名前を付けたというわけです。

 

Ⅰ 活動の概要

※以下、生徒に活動の説明を行った際のハンドアウトの内容を紹介します。

 

英語の力をつける一番の方法は、毎日続けて勉強すること。たとえ量は少なくても、継続して勉強していれば知らないうちに力がつくものです。昨年後期に行った What Am I? は、このような考え方に基づき、既に学習した内容を駆使できる機会を提供しようとしたものです。

 

そこで、本年度も毎回数名(ふつうは2名)の人に活躍してもらい、「聞くこと」「話すこと」の訓練をしていきたいと思います。現在予定している活動は名付けて“古畑-コロンボ活動”。いったいどんな活動でしょうか・・・?

 

1.活動の目的

・既習事項を駆使して、伝えたいことを的確な英語で話すことができるようになる。
・自分の意見やものの見方を堂々と発表することができるようになる。
・日本独特のものを紹介する活動をとおして、日本の文化に対しての認識を深める。

 

2.活動の概要

(1) 毎回2名の生徒がある事柄(主に日本独特の物)を3~5つの英文で説明する。
・説明する事柄は毎回前時に与えられる(2名とも同じもの)。
・発表者は別紙の「Furuhata-Columbo Card」に説明文を書き、暗記して発表する。
(2) 残りの生徒は、その説明がどのくらいよく理解できたかを評価する。
・発表者の説明文を一文一文よく聞き、全体としてどのくらいよく説明できたかを3段階で評価する。パー(よい)、グー(ふつう)、なし、の挙手の数により合否を判定する。

 

3.活動上の留意点

(1) 課題を与えられた者は、次時までに別紙の「古畑-コロンボ・カード」(右参照)に説明文を書く。これを忘れないこと。他の生徒の勉強の機会を奪うことになるので、単なる宿題忘れでは済まされない。
(2) 発表をする際には、説明文を暗記して(ただ暗記するのではなく、自分のことばに!)一文一文じっくりと言う。忘れた場合はメモを見るようにのぞいてもいいが、読まない!
(3) 顔の表現やジェスチャーなどは積極的に取り入れる。ただし、絵を用いてはいけない。
(4) 発表後は、仲間の評価を参考にしてカードのまとめの欄を書き、提出する。(目に見えた評価だけでなく、授業後に「ねえ、どうだった?」と意見を聞いてみよう。)
(5) 残りの生徒は、ただ聞いて評価するだけでなく、「自分ならこういうな。」「あっ、今の表現使えそう。」などと、仲間の発表を積極的に自分の勉強に利用すること。

 

4.説明文作成のポイント

(1) 辞書などは使わずに、できるかぎりわかりやすい表現で書く(Show & Tellと同じ)。
(2) 同じような文で表そうとせず、色々な表現を使ってバラエティーに富んだものにする。
(3) 新しく習った文法や語句は積極的に取り入れるようにする。
(4) 日本語を直訳しようとせず、使える英語表現で言える方法を考えて書く(言いたいことがうまく英作できないときは、立場や主語を変えるなどして使える表現に置き換える)。

 

5.作品例

(1) 「にぎり寿司」(食べ物)
・It is food.
・It is a rice ball with a slice of fish on.(にぎりと魚のスライスのジェスチャー)
・The rice is a little sour with vinegar.(酢をかけて酸っぱいという表情をする)
・You can enjoy a lot of kinds of it.
・You put it in a soy sause and eat it.
・It is very expensive, so we sometimes serve it to our important guests.
・In some shops you get it from a turning table.

(2) 「こいのぼり」(文化)
・It is a kind of flag.(旗を振るジェスチャー)
・It looks like a carp.
・Carp is a fish. It lives in many rivers and lakes in Japan.
・You put it in a high place, so it can fly in the sky.(高い所で旗めくジェスチャ-)
・Usually it has a family of father, mother and children.
・You enjoy watching it on May fifth. It's Children's Day.
・You hope that your sons will be healthy and happy with it.

(3) 「おぼん」(生活用品)
・It is a kind of plate.
・Some are round, some are square.(「丸い」と「四角い」をジェスチャー)
・It is usually made of wood, but some are made of metal or plastic.
 (教室にある木製の物や金属製、プラスチック製の物を指しながら)
・You use it when you serve tea or food.
・You put cups or dishes on it and carry them.(置いたり運んだりするジェスチャー)

 

Ⅱ 指導の実際

1.指導上の留意点

コミュニケーション活動を成功させるには、活動そのものを魅力的にすることに加えて、その活動をいかに上手く運営できるかということも重要です。特に、長期間にわたって継続的に行う場合は、生徒の興味・関心をつなぎ止めておける運営上の工夫が必要です。

 

Furuhata-Columboでは、効果音を有効に使って、雰囲気を盛り上げることに成功しました。開始時と終了時は両ドラマのテーマ曲を流し、判定のところでは「欽ちゃんの仮装大賞」の合格効果音を使っています。いずれもビデオからMDに編集して流しています。

 

次回発表者にコメントを言わせているのも活動の向上に役立っています。その生徒は自分で言ったことはやらざるをえないというわけです。また、日頃から英語を「話すこと」「聞くこと」に十分慣らせておくことも重要です。それなしに活動の時だけ英語を話すことを強要しても、生徒は動きません。そのためにも、クラスルーム・イングリッシュは可能な限り使い、生徒にも英語を使わせるように訓練しておきます。

 

なお、Furuhata-Columboは授業の中では次のような指導過程に位置しています(平成9年度研究授業公開授業学習指導案より)。
 

1 Greetings
2 Roll Call
3 Furuhata-Columbo④(「扇子」)
 (1) Presentation & Listening
 (2) Judgement
 (3) Comments by Students & Teacher
 (4) Assignment of the Next Episode

4 Review of the Ex-Target Sentence
5 Review Reading
6 Communicative Activity in Pair
7 Oral Introduction of the Target Sentence
8 Pattern Practice
9 Oral Introduction of the Text & Words
10 Reading
11 Consolidation of the Grammatical Points
12 Closing Address

 

2. 成果と課題

成果としては、各生徒がある程度まとまったオリジナルの英文を書き、それを発表するという経験ができたことが一番に上げられます。また、仲間は答えを知っているので内容を理解しやすく、興味関心を持って聞くことができました。

 

課題としては、毎回のテーマを教師が与えていたので、発表者はどうしても「やらされている」という気持ちになっていたことです。クラス全員を毎回事前指導する意味でやっていたことですが、テーマは発表者に任せた方がより面白いものが出てきたかもしれません。

 

(5) ディスカッション・タイム! へ