1.他の先生の授業を見ること

最も簡単な研修は、他の先生の授業を見ることです。特に、同僚や知り合い、地域の先生であれば、面倒な手続きもなく見せてもらうことができます。もちろん、勤務校以外では場合によって相手校に「授業見学願」のような書類を出す必要があるかもしれませんが、そのくらいは面倒くさがらずにやりたいものです。

 

他の先生の授業を見ることの最大の利点は、自分の授業とのちがいに気づくことです。その先生の良い点に気づくと共に、自分の授業に足りないところもわかります。つまり、他の先生の授業を見ながら自分の授業の分析もできるということです。

 

特に、勤務校や地域で、はたまた遠方でも、「あの先生は授業が上手だ」と評判の先生がいたら、ぜひその先生の授業を見ることをお勧めします。評判の高い先生の授業は、授業の流れがしっかりしているだけでなく、生徒が生き生きと目を輝かせて活動しているはずです(だから評判が高いのですが…)。中には、見た方の授業感を根本から覆すような光景があるかもしれません。

 

筆者も、かつて同僚や授業の「名人」と呼ばれる先生方の授業を数多く見せてもらい、そこから多くを学んで自分の授業の改善に役立てた経験があります。特に、授業の「名人」からは多くのことを学ばせていただきました。先述のように、筆者は常に授業改善を求められる立場にいましたので、それなりにいろいろな実践を行ってきていた自信がありましたが、「名人」の授業を見て頭を後ろからたたかれた気分になったことが何度もあります。そして、「名人」がなさっていたことを実践することで、自分の授業が大きく変わり、結果として自分の生徒の姿も大きく変わりました。

 

他の先生の授業を見る際にぜひやりたいのは、授業後にその先生とその授業が日々の学習指導について話をすることです。特に、授業中に感心したことは、なぜそれを行っているのか、それを行う前に指導すべきことは何か、等をその先生から聞くようにします。それは、表面的に見えていることを、なぜそれを実施しているのか、その前に指導することは何かということを理解ないで行っても、大抵はうまくいかないからです。その指導や活動の裏側に隠れている「理念」のようなものをぜひ理解してください。

 

また、授業見学後にその先生と話をすることは、授業を見せていただいた先生に対する「礼儀」でもあると思います。授業を見せてもらっただけで帰ってしまうのは最も礼を失した行為です。もちろん、お互いに忙しい中でのことなので、多くの時間を割くことはできないとは思いますが、短い時間でも話をすることができれば、見せた側としても補足ができるでしょうし、見せてもらった方は授業を見た以上のことが学べるかもしれません。なお、相手の先生が忙しそうであったら、その場ではお礼を述べるにとどめ、その日のうちに感想や質問をメールで送ったり、後日手紙で礼状を送ったりするようにしましょう。

 

次へ 2. 自分の授業を見てもらうこと へ 

元に戻る