3. 英語科の苦悩と夜明け

ロイロノートによる学習指導をどのように行うかということは、英語科にとって大きな悩みでした。それは、カードという形で学習内容を指示する形であったので、授業のように生徒と実際の話し言葉でのやりとりができなかったからです。しかも、勤務校の英語科は100年以上前から「聞くこと」「話すこと」を中心にした英語による授業を行ってきたので、「これじゃあ、指導ができないよ…」という嘆きがしばらく英語科内で蔓延していました。

 

特に、1年生を担当することになっていた筆者は途方にくれて、しばらく思考停止状態になりました。勤務校の入門期指導は1923年にハロルド・E・パーマー氏がオーラル・メソッドを本校で実践して以来、特に最初の約6週間くらいの入門期指導は教科書を使わずに、教師による口頭教授で授業を行ってきたからです。筆者自身も過去25年間その方法で1年生を指導してきました。それをどうやってカード上の指示で行うというのか…。

 

そのような中で、英語科内で最も若い栖原先生が3年生への指導に動き始めました。栖原先生は、前任校の都内公立中学校でロイロノートを利用した経験があったので、その扱いに慣れていたということもあったでしょう。3年生では、ほぼ普段の授業で行っている内容をロイロ上でも行うことを計画していました。その内容とは、次のようなものでした。

 

○挨拶…ビデオで流して生徒にもさせる

○warm-up…歌を音声カードで示して歌わせる

○文型導入…担当者2人による寸劇をビデオで示し、カードで理解の確認を行う

○本文導入…教科書の挿絵などを見せながら音声を聞かせてQ&Aを行い、カードで理解の確認を行う

○教科書の音読…カードで指示しながら音声を流して練習させる

○表現の練習…カードで指示してリピートさせたり自己表現させたりする

 

3年生の副担当であり、1年生の副担当でもある植野先生からその話を聞き、2年生を担当する中島先生も同じようなことを考えているということを聞きました。「そうか、授業をそのまま再現してしまえばいいんだ…。」結局、1年生もその方向で行くことになりました。

 

これで英語科としての方向性は決まりました。しかし、1年生にはまだ大きな問題がありました。それは先述したような勤務校の特殊な入門期指導のやり方に由来するものでした…。

 

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