(5) エピソード総集編

これまで4回にわたって私のツーリングの経験をお話ししてきました。今回はそこには書ききれなかったエピソードをまとめてお話しします。

1 旅のスタイル

① 旅のパートナー
 バイク・ツーリングを始めてもう20年(1997年現在)になりました。高校1年生のときに原付免許を取得して以来、無事故・無違反。その私の旅を支えてくれたパートナーを紹介します。

ホンダ:ST50(S52.6~S54.1)

通称「ダックス」。今は亡き父の愛車。高1の夏に原付免許を取って乗っていた。ガソリンタンクは小さく、遠出はできなかったが、ツーリングをすることの楽しさをわからせてくれた大切なバイクであった。[写真はネットより。実車は黒色]

ホンダ:XL125S(S54.1~S55.8)

自動二輪免許(中型限定)を取り、アルバイトをして買ったオフロード車。リッター50㎞以上という低燃費を誇る。なお、このバイクについてのレポート(なんと2ページ)が、当時の「モト・ライダー」という雑誌に取り上げられたことがある。[写真は埼玉古墳で]

ホンダ:CB400TホークⅡ(S55.8~S61.7)
ツーリング、通学・通勤と、6年間で68,000㎞も走った。大きなカウリング(風防)をつけたり、サイド・ボックスをつけたり、ハンドルを大きなものに変えたりと改造を積み重ね、最終的にはカーステレオまでつけたりした。[写真は福岡県久留米市の松田聖子の実家前で]

ホンダ:CB750FCインテグラ(S60.5~S63.1)
大学時代に免許の限定解除をし、教師になってから買ったあこがれのナナハン。その美しいスタイルは今でも十分に素敵だ。最初に勤めた学校の同僚に譲ってしまったが、今でも手に入れたいと思う素晴らしいバイクだった。[写真は千葉県鴨川市で]

ホンダ:XL200R(S61.8~H4.10)

CB400Tを車検切れで手放すにあたって、気楽に乗れるバイクが欲しくて中古で手に入れたもの。通勤の他、たまに林道などのオフロードを走行を楽しんだ。最後は友人にただで譲ってしまった。[写真は埼玉と群馬の県境にある十国峠で]

ハーレー・ダビッドソン:FXST(S62.10~H16.12)
通称「ソフテイル」。現在の愛車。貯金を全てはたいて買った、チョッパー・スタイルのハーレー。Vツイン、1,340CCのエンジンは大迫力だ。アクセルを開ければ体を揺さぶる振動と大爆音と共に加速するアイアンホース。[写真は瀬戸大橋で]

 

 

なお、平成17年夏に新居に転居するにあたり、かねてからの妻の要望により本バイクを手放し、バイク人生に一端終止符を打った。いつの日かまた復活する日を夢見て…。

 

※ライダー(モーター・サイクリスト)生活を引退してから15年も経ったというのは感ひとしおです。しかし、まだあきらめたわけではありません。今でも昔乗っていたバイクのことを時々ネットやムック本等で調べてニタニタしています。(8/11/2019)

 

② 自然がベッド
 バイクの一人旅では、お金を節約することと場所を選ばないということで、キャンプをすることが多くなります。ツ-リングを始めた頃はユースホステルを利用することが多かったのですが、北海道で野宿の味を覚えてからは「テント生活」が主体となっています。テントの設営地を多い順に並べると、①キャンプ場、②公園、③駅、④海岸・湖岸、⑤駐車場、となります。他にもライダーハウス(ほとんどは無料)などを利用することもあります。あとはお墓でキャンプをすれば完璧ですね。[写真は北海道富良野市のキャンプ場で]

 

③ リトル・マネー
 ライダーはいかにお金を使わずに旅をするかというのも楽しみの一つです。私の場合は、一番お金がかかるのがガソリン代とフェリー代で、逆に一番かからないのが②のとおり宿代です。食事も朝夕自炊して節約し、名物は昼食時に食べるようにしています。こうすると時間の節約にもなるんですね。お陰で色々なものを工夫して作って食べる知恵がつき、アメリカ留学中もそれが大いに役立ちました。

④ 余裕と無茶
 私の経験から、長距離を低疲労で走るには、時速50~60㎞のスピードで、1日250~300㎞というのが色々な意味でバランスがいいようです。しかし、時として距離を稼ぎたい時もあり、そういうときはスピードを上げるのではなく走る時間を長くします。なお、自宅は埼玉県です。

 

<無謀長距離走ワースト5>

  走行距離 始点→終点
走行時間
バイク 備  考
830㎞
八戸(青森)→自宅 朝7:40~翌朝4:56 CB750F 全て一般道(三陸)
734㎞
青森→自宅 朝3:40~夜11:30 CB400T 全て一般道(R4)
725㎞
湯村温泉(兵庫)→自宅 朝8:00~翌朝1:50 HDFXST 小牧→八王子は高速
642㎞
自宅→八郎潟(秋田) 朝4:05~夜8:00 CB750F 所沢→前橋は高速
583㎞
自宅→西入善(富山) 夜10:00~翌夕6:30 CB400T 全て一般道

 

 

2 エピソード

① 牛のウ○チは臭くない!?
 北海道に初めて行ったときのことです。見渡す限りの牧場に感動した私は、牛をバックに写真を撮ることにしました。三脚を立てて、タイマーのスイッチを入れて、牛の前に寝ころんで、無事終了。とおもいきや、左肘に何かが・・・。ガビーン!な、なんと!ホヤホヤの牛のウ○チがベッチャリとジャンバーにこびりついているではないですか。でも、このとき、私は牛のウ○チは全然臭くないものだと初めて知ったのでした。[写真は北海道中標津の牧場で]

 

② サルのバカヤロー!
 「二十四の瞳」で知られる瀬戸内海の小豆島を訪れたときのことです。寒霞渓という場所で、おみやげにキビダンゴを1箱買い、景色を楽しんでいたところ、突然右手に衝撃が走りました。なんと、ニホンザルが私のキビダンゴを奪い取ったのです。彼(彼女?)は木の上に昇り、器用に箱を開いてダンゴを食べ始めました。「野生ザルに注意」の看板に気づいたのは、それから駐車場に戻るときのことでした。
 サルのバカヤロー!

③ 出るに出られず
 九州に着いた初日のことです。あいにくの雨模様であまり走りたくなかったので、宮崎市に着いたところで早々と宿探しをしました。宿と言っても雨の中で野宿をするのはいやだったので、ちょうどいい場所として国鉄宮崎駅の待合室に泊まることにしました。幸い、他にも仲間がいて、交番のお巡りさんとも仲良くなり、いい気分で中央にあるテーブルの下に寝袋にくるまって寝ました。
 ところが、翌朝一番列車の音で目を覚ますと、待合室の中は人で一杯ではないですか。みんなが冷たい視線で私を見下ろしていますが、私は身動きがとれません。実は、寝袋の中はパ○ツ一丁だったのです。

 

④ フェリーに缶詰
 独身最後のツーリングで2度目の紀伊半島に向かったときのことです。台風の接近で出発が危ぶまれていましたが、フェリーは何とか東京港を出港しました。ところが、伊豆大島沖まで来たところで、「台風の直撃を受ける恐れがある」と船長のアナウンスがあり、引き返してしまったのです。そして、再度出発しましたが、またも引き返すことになって、今度は東京湾内を丸一日グルグル回る羽目に。結局、12時間で那智勝浦に着くはずのところが、35時間もかかってしまいました。[写真は東京→那智勝浦のフェリーの船室で]

 

3 ツーリングの成果

 

 バイク・ツーリングは私の人生を変えました。それまで、どちらかというと「安全第一」で危険を冒さなかった私が「チャレンジ」と「冒険」を覚えました。そして、この経験からの自身がアメリカ留学へとつながったのです。

 

また、自分自身を客観的に見つめることができました。一人旅は何でも自分一人でやらなければなりません。だから、赤裸々な自分が現れます。自分の弱さ、自分の実力などを知る絶好の機会でした。

 

そして、実際に各地を訪れることで、日本について未知のことや単なる知識に留まっていたことを自分の体の一部とすることができたのです。

 

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