終業式にあたって

今回の新型コロナウィルス対策のために、卒業式を規模を縮小して行った学校も多いと思います。筆者の学校でも、本日14日(土)に在校生も保護者もいない、無観客試合ならぬ"無観客式"の形で行われました。ただ、勤務校の卒業式は例年なら昔ながらの飾りも演出もないシンプルな式であるのですが、それでは卒業生が可哀相そうだと、教員有志の発案でサプライズ演出を入れたことで、例年にはない感動的な式にできたのは、不幸中の幸いであったかもしれません。

 

さて、卒業式が終わると終業式がやってきますね。勤務校では前期の学期末の式は「終業式」と呼んでいますが、後期の学期末(学年末)の式は「業式」と呼んでいます。1年の終わりで「める」ということのようです。このあたりは、「める旅行」として修学旅行を120年以上前から行ってきている勤務校(「36. 満を持して(?)のつぶやき-修学旅行(その1)」参照)のこだわりが表れているところかもしれません。

 

その終業式ですが、先生方はどのような思いをもって臨んでいらっしゃるでしょうか。卒業式はいわば「もう明日からあなたちの面倒は見ませんからね」と手を放す宣言をする日でもあると思うのですが、終業式は翌年もその学年の担任をする・しないに関わらず、「来年もあなたたちを見守っていきますよ」という予告をする日でもあると思います。ですから、教員としてはそこまでの1年間あるいは2年間の指導を振り返り、翌年の指導に向けての決意をする日でもあると思います。

 

「いやあ、そんなことは新年度になってから考えればいいでしょ」という方もいらっしゃるでしょう。それも確かにそうですね。ただ、筆者の場合は心配性なので、どうしても先のことを考えてあらかじめ何か手を打っておきたいと思ってしまうのです。もちろん、本校でもそうであるように、多くの学校ではクラス替えがあり、翌年も同じ生徒を担任できるとはかぎりません。それでも、担任するであろう生徒への布石を打つということと、担任ではないが同じ学年の生徒を指導するという意味で自分ができることをあらかじめ仕込んでおきたいという思いがあります。

 

そのようなこともあり、前回の「40. 卒業式にあたって」に続いて今回も修業式の日に話した「終礼の話」をアップしました。実は、すでに「続・終礼の話」から1年生の修業式の日に話したこと(「27. 行ってきま~す!ー修業式の日に話したこと」)をアップしてあるのですが、今回はその前の担任学年の1年生の修業式の日に話したこと(「23. 『ごめんなさい』と愛しすぎないこと-修業式に贈る最後の話」)をアップしました。同じ教員が同じ時期に異なった生徒に話すことなので、メインとなる伝えたい内容はほぼ同じです。ただ、導入部や周辺の話は異なりますので、2つを読み比べていただけると面白いかもしれません。

 

卒業式の日の話と同様に、筆者の個人的な思いを語ったものですので、模範的な話としてユニバーサルに転用できるものではないのですが、若い先生方にはどのように生徒たちの気持ちを引き出し、それを受け止めつつ自分の伝えたいことを話すかということの参考にはしていただけると思います。おそらくもう担任を持つことがないであろう筆者としては、自分の経験が若い先生方に生かしていただければ幸いだと思っています。(3/14/2020)

 

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