教員採用試験あれこれ③

教員採用試験に関する話の第3弾です。今回は筆者が受けた教員採用試験の話です。もう36年も前のことなので、当時と今とでは試験内容もちがう部分があるでしょうし、周囲の状況も大きく異なるので、これから教員採用試験を受験しようと考えている学生さんには参考にならないかもしれません。ただ、それなりに対策は立てましたし、実際にその対策が上手くいったという経験がありますので、その経験のどこかに参考にしていただけることがあるかもしれないと思って話を構成してみます。また、筆者は採用試験に関して普通の人とは少し異なるユニークな経験をしていますので、現役の先生方にはそのあたりの話を面白いエピソードとして読んでいただけるのではないかと思っています。

 

なお、書き始めたら次々といろいろなことが思い浮かんできたので、全体を2回に分けてお話しします。もっとも、2回に分ける理由は他にもあるからなのですが…。今回は前半の話です。

 

筆者は1984年の夏に埼玉県の高校の教員採用試験を受けて、1985年4月に県立高校の教員になりました。大学時代の仲間のほとんどはその前年に教員になっていたので、1年遅れの就職でした。それは、筆者が大学4年生の8月から5年生(?)の6月までアメリカの大学に留学していたからでした(「土台を支える経験」「2. アメリカ留学」参照)。

 

その年の埼玉県の採用予定者数は、英語は中・高ともに各100人だったと記憶しています。大量採用時代の最後の年でした(翌年は50名、その翌年は25名に減りました)。一次試験の受験者は400名余りいましたから、倍率は約4倍だったということになります。

 

ところで、筆者はずっと中学校の教員になろうと思ってきました。それはやはり中学校の先生の影響を強く受けたからです。自分もその先生のようになりたいと思ったからだと思います(実はよく覚えていないのです)。しかし、1980年に『3年B組 金八先生』が放送されて大ヒットしたとき、その目標に迷いが生じました。同番組を毎週欠かさずに見ていましたが、あまりにも毎回問題が起こるのを見て、中学校の教員になることに尻込みしてしまったというわけです。

 

ただ、それでも最後の最後まで中学校にするか高校にするかは迷っていました。そして、願書をもらう日…。埼玉大学教育学部では学務で願書を配付していました。自分の前に10人ほど並んでいたでしょうか。なんとその時点でもまだ中・高のどちらにするか決心しておらず、ついに自分の順番が来てしまいました。そして、目をつぶって、「高校をください…」と手を出していました。

 

英語の教師になろうと思った理由も実はよく覚えていないのです。なぜなら、筆者の一番好きな教科は理科であり、得意な教科は数学だったからです。中学校までは英語も得意でしたが、高校では落ちこぼれてしまいました。確か、9教科11科目の中で英語の成績は最低だったと思います。その筆者が最終的に英語を選んだのは、中学校のときの英語に対する好印象からだったと思います。

 

一次の筆記試験はなんとか通りました。あとは面接をクリアーすれば晴れて合格です。ここで筆者は攻めに出ました。それは自分の得意なことを面接でアピールすることでした。それは日本語の面接でも英会話の面接でもそうでした。面接では最初に自己紹介をさせられることまではわかっていました。そこで、その中に相手が食いついてくるだろうと思うことを話の随所に入れたのです。そして、相手に尋ねられそうなことを予想して、応答を考えておきました。筆者の場合、それはバイクで日本一周したこと(「土台を支える経験」「1. 日本一周バイク一人旅」参照)とアメリカに留学したことでした。

 

案の定、日本語の面接でも英会話の面接でも、面接官がそれらの話に興味を示して質問をしてきました。「しめた…」そう思ったのは言うまでもありません。特に英語はシナリオを作ってありましたから、淀みのない英語で、しかも冗談などを交えながら余裕で応答することができました。もっとも、それはアメリカ留学から帰国した直後であったということもあったと思います。

 

上記のことを踏まえて、これから教員採用試験を受ける学生さんにアドバイスです。もし個人面接があるようでしたら(きっとあるでしょうね)、面接官に何を尋ねられるか心配してドキドキして待っているのではなく、自分がこれならきっと簡単に答えられる、詳しく説明できる、自分の長所をアピールできると思えることを、積極的に話に盛り込むようにします。自己紹介のようなものがない場合は、他のことを話している間にその話を挟み込むようにします。おそらくそれに面接官は関心を持つでしょう。そしてその話に食いついてきたらしめたものです。

 

その話が教員生活を送ることにとってプラスになる内容であればなおいいですが、一見すると教育や教員生活に関係のなさそうな話であっても、その人の個性を際立たせるようなものであれば積極的にアピールした方がいいでしょう。多様性のある人材を必要とする教育界にとって、あなたの思いもかけないような才能や経験を買ってくれる可能性はかなり高いと思われます。

 

教員採用試験を受ける学生さん、ぜひ頑張ってください!

 

次回は、2回に分けた後半の話として、2度目の教員採用試験の話を紹介します。

「ん?採用試験に合格して教員になったのに、また受けたの?」

そうなんです。事情があって3年後に2度目の採用試験を受けたのです。そのことについてお話しします。お楽しみに!(11/15/2020)

 

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