イベント活動

1.「イベント活動」とは

(1) 目的
中学校の授業で第一義と考えられているのは、やはり教科書に載っていることをすべて教えるということでしょう。特に高校入試のことを考えるとこれははずせないことと言えます。しかし、ただ教科書をこなしているだけでは生徒も教師も面白くありません。一般に「英語の授業が面白くない。」と生徒から指摘される場合は、授業が単調なルーティーン・ワークだけになっていることが考えられます。ですから、授業を魅力あるものにするためには何らかの工夫が必要です。もちろん、日々の授業の中身そのものに変化を持たせることも大切ですが、時には思い切っていつもとちがう活動を生徒にさせてみてはどうでしょうか。そこで提案したいのが「イベント活動」です。

 

ここでいう「イベント活動」とは、教科書を使った1単位時間の活動ではなく、数時間を費やして行うプロジェクト活動を指します。

 

このような活動を行う意義には、次のような点があります。 

 

・日々行われている新しい言語材料の習得を目的とした学習活動とちがい、むしろ学習した言語材料を総合的に運用させる機会を提供する。

 

・生徒はあらかじめ最終的な活動目標を持てるので、意欲を持って主体的に活動する。

 

したがって、このような学習活動を行うと、日々のルーティーン活動に喝を入れられるだけでなく、生徒が生き生きとした表情をもって活動に取り組む姿が見られるようになります。

 

ところで、先生方の中には「そんな無駄なことをしている時間はない。」とおっしゃる方もいるのではないでしょうか。でもちょっと待ってください。教科書に載っていることを「すべて教える」のはそんなに大切なことでしょうか。よく考えてみてください。教えたつもりでも生徒は実際には身につけているとは限りません。ましてや、つまらない詰め込み式の授業をしていたら、身につけるどころか生徒は学習意欲を失い、学習の効率が逆に下がってしまうのです。だったら、少しくらい抜け落ちていることがあっても、生徒が意欲的に取り組める活動の場を提供した方が学習効率が上がるかもしれないと考えることもできるのではないでしょうか。そのような発想の転換が私たち英語教師に求められているのはないかと思います。今までこのようなことをやってこられなかった先生は、ぜひこれから紹介する活動を授業に取り入れてみてください。きっと生徒が変わります。


(2) 実施時期

前項で「イベント活動」の重要性を説いた私でも、教科書をおろそかにしているわけではありません。したがって、イベント学習を行き当たりばったりで行っているのではなく、教科書の題材や学年暦などを考えて実施しています。

 

そこで、ここでは一般的にイベント活動を行いやすい時期を考えてみます。
 
①各レッスン後
題材をもとに発展的な活動をさせるにはもっとも手軽にできる。

 

②期末試験後
今回のお勧め。定期テストも終わり、長期休業も目前の時期。このような時に教科書を進めても生徒の気持ちは上の空。だったら思い切って面白い活動をさせたい。大抵は2週間近くの期間があると思うので、充分に時間をとって準備させ、発表させるような活動ができると思う。

 

③学年末
順調にいけば教科書も終わる時期。副読本などを読ませる手もあるが、それよりも一年間の総決算としてどのくらい英語の力が身に付いたかを試すような総合的な活動を行う。

 

2.「イベント活動」の活動例

それでは、「イベント活動」と考えられる活動にはどのようなものがあるでしょうか。コミュニケーション活動についてまとめた書物にはたくさんの例が載っていますが、ここでは自分の実践から以下の活動について紹介することにします。

 

それぞれの活動についての詳しい説明や指導方法、実際に授業で使ったワークシートなどは別ページにあります。それらをご覧になりたい方は、各活動名をクリックしてください。

(1) スキット
スキット作りには、教科書の対話文をもとにそれを発展させたものを作る場合と、テーマを与えられて(あるいはそれも無しに)自由に作る場合とがあります(本校では、かつて毎年全員でNHKのスキット・コンテストに参加していましたが、それは後者に当たります)。ここでは、より日々の授業に密着した形の前者の指導について紹介します。

(2) 紙芝居
ここでいう紙芝居とは、教科書の補助教材であるピクチャー・カードを使って本文をドラマチックに朗読する活動を指します。したがって、教材となるのは物語教材になります。ここでは、教科書の本文をグループで自由に料理して発表させる活動の指導について紹介します。

(3) カルタ

英単語カルタはよく見かけますが、ここで行うのは「基本英文カルタ」です。生徒に教科書から選び出した重要文の内容を絵で表すカードを作らせ、それをグループで取り合います。年末に作らせ、年始に行えば、もう教室はゲーム・センターと化します。ここでは、全体構想、カードの作らせ方、ゲームの実施方法等を紹介します。

 

(4) Show and Tell

人前で英語でスピーチをするのは、とても大変なことです。また、それだけに英語の表現力もしっかりと身に付きます。本校では、30年以上前から平成17年度まで、2年生の週1時間をこの活動に与え、3分間スピーチを半年間で1人1回(平成11年度までは1年間で3回)行わせていました。ここでは、全体構想、原稿の作成指導、授業の運営方法、評価方法等を紹介します。

 

(5) スピーチとQ&A

本活動は、(4) Show & Tell に代わる活動として、平成18年度の第2学年より毎年行ってきた活動です。現在は、第1学年から第3学年まで、ALTとのTTの時間(各学年とも半年週1回)を利用して、3~5回程度行っています。ここでは、その全体構想、原稿の作成指導、発表会の運営方法、評価の方法等を紹介します。