覚えられない!

えっ? 何が「覚えられない!」のかって? それはおそらく”教師あるある”、いや、もしかしたら人を相手にしている仕事の人みんなに”あるある”のことではないかと思います。

 

そうです。生徒の顔と名前が覚えられないということです。昨年度の新入生からまったく顔と名前が覚えられなくなりました。週4時間も授業に出ているのに、1年経って顔と名前が一致する生徒は各クラスに4~5人くらいしかいません。えっ?「それはあなたが歳をとったからでしょ!」ですか? う~ん、それもあると思いますが、何と言ってもコロナ禍でマスクをしている生徒の顔が覚えられないのです。

 

学級担任の先生なら、昼食の時間に生徒がマスクをはずすので、その時に生徒の素顔を見ることができると思うのですが、筆者は授業や部活動でしか生徒と接しないので、生徒の素顔を見る機会がほとんどありません。そのため、名前と顔を一致させることができず、両方とも覚えることができなくなっています。

 

今回のことでわかったことが、自分がいかに普段から視覚情報に頼って生きているかということです。特に、筆者は歳(あと1ヶ月で還暦を迎えます)のわりに視力がいいので(裸眼で0.7~1.0あります。50歳くらいまで両目とも1.5ありました)、平均的な人以上に目の前の事象を視覚情報で記憶しているようなのです。逆に、妻は小さい頃から視力があまりよくないので、人を顔で覚えるのではなく、耳から得る聴覚情報で覚えると言います。声や話し方でそれが誰かがわかると言うのです。

 

また、今回のことで筆者が人の顔を見るときに必ず行っていることがはっきりしました。相手の顔のパーツを1つずつチェックしてそれを記憶しているのです。目の大きさ・形・傾き、眉毛の形・角度、鼻の形・高さ、耳の大きさ・形、唇の形・広さ、頬の出っ張り・ラインの形、額の広さ・形、髪の毛の色・形状・長さ…などなど。これらの情報を一瞬のうちに読み取り、すべての情報を総合してその人の顔を覚えているのだということがわかりました。ところが、マスクのせいで顔の中心部の鼻・唇・頬が見えません。それまでと情報量が異なるために脳が混乱しているようなのです。

 

その上、見えない部分を自分で想像して独自のイメージを記憶しているようで、マスクをはずした素顔を見ると、さらにそれが誰だかわからなくなってしまうということもありました。マスクをはずした生徒のクラス写真を見たときに、それまで自分が抱いていた個々の生徒の顔のイメージとあまりにちがう実際の生徒の顔に驚きました。これでは1クラスに80人の生徒がいて、それをすべて覚えるようなものです。

 

この現象ははたして筆者だけのことでしょうか? 先生方はいかがでしょうか? 筆者と同じ境遇(年齢、立場)の方はみなさん同じような悩みを抱えていらっしゃると信じたいのですが…。(5/1/2021)

 

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