ディレクターズ・カット

「ディレクターズ・カット」とは、映画やドラマで当初は何らかの制約によりあきらめた内容やカットされたシーンなどを、監督自身の手で改めてそれらを入れて編集し直した作品を指します。特にSF映画ではそれが多く、『未知との遭遇』(Close Encounter of the Third Kind)、『E.T. 』(E.T.-The Extra-Terrestrial)、『ブレード・ランナー』(Blade Runner)などにそれがあります。

 

さて、今回ご紹介するのはそのようなメジャーな商業作品ではなく、筆者が作成した『卒業記念DVD』です。以前にどこかでつぶやいたかもしれませんが、「筆者の授業」「3. 記者が見た筆者の授業」「2. TSUKUBA Communications」の記事でも少し触れられているとおり、筆者は校内で学校生活のビデオ撮影及びその編集を任されています。ここ2、3年は次の世代に引き継ぐためにあえて若い先生方に任せるようにしていますが、以前は10年以上にわたってその仕事を一手に引き受けていました。

 

撮影する内容は学校行事や学年行事にとどまらず、日々の学校生活全般にも及びます。特に自分が担任した学年では、それこそ筆者がビデオ・カメラを構えて目の前まで寄っていっても生徒たちは顔色1つ変えずに平然としているほど当たり前の光景になっているくらいでした。そして、それらの膨大なデジタル・データを業者に任せず筆者が一人で編集し、卒業後数ヶ月経ってから生徒たちに渡しているのが『卒業記念DVD』です。製作に膨大な時間がかかるので、これまでに作成したのは自分の担任学年用である2008年(2巻セット)、2012年(3巻セット)、2016年(4巻セット)の3回だけですが、いずれも生徒たちの良い思い出の記録を渡せたと思っています。

 

最後の2016年版も約500時間以上をかけて編集した大作(計88タイトル)です。どうせ作るなら、単なる記録映像だけでなく、映画ファンである筆者の夢をかなえようと、映画やドラマのようなオープニングやエンディングをそれぞれの巻に入れてあります。特にオープニングには力を入れており、たった2~3分程度の映像を作るのに20~40時間くらいかけました。ただ、完成後に見直してみると、「やっぱりここはこうしたかったなあ…」と思うところが何カ所かあり、いつかその部分を改訂して、卒業生が二十歳になったときに開催する「成人を祝う会」で上映しようと思っていました。

 

そんな2年前、「82. 祝・開設2周年」でもお話しした病気に見舞われました。実を言うと、その時は2年後の「卒業を祝う会」には出席できないかもしれないと思ったのです。そこで、件の改訂版の作成を病気休暇中の暇つぶしと精神面のリハビリのために行いました。そしてできあがったのが、『卒業記念DVD オープニング&エンディング ディレクターズ・カット集』です。これだけでも、オープニング5作品とエンディング4作品があるので、計約35分にも及ぶ長編となります。

 

さて、先述の「卒業を祝う会」は、附属小・中・高の卒業生の成人約300人が都内のある有名なホテルに集まる毎年の恒例行事です。ところが、今年はコロナ禍のせいでつい先日中止が決定されました。ぎりぎりまで開催する方向で頑張っていた幹事たちはさぞ残念であったことでしょう。筆者も件の改訂版ビデオを披露できずに残念に思いました。しかし、そこで諦めないのが筆者です。会場で上映する予定であった作品をYouTubeにアップし、卒業生全員が見られるようにしたのです。

 

しかも、ただ見るだけでは面白くないでしょうし、改訂版のどこが"改訂版"なのかもわからないだろうと思い、チラシ兼クイズ形式の解答用紙(下に現物のファイルあり)を配信し、クイズの応募者にその原盤をDVDでは実現できなかったハイビジョン画質(1920×1080)のMP4データとしてプレゼントすることを企画しました。

 

映像の公開(URLを知っている人だけの限定公開)は成人の日からです。いったいどれだけの卒業生がそれにアクセスし、クイズに応募してくれるのかを楽しみにしています。ディレクターズ・カット。有名な一流監督だけに許される再編集・再公開を、筆者も実現して一人で喜んでいます。(1/9/2021)

 

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卒業を祝う会クイズ解答用紙(HP用).pdf
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