大学院に通うということ(その3)

同名タイトル第3弾の今回は、大学院で取った英語教育関係の授業のことをお話しします。

 

英語教育専攻であったので、大学院を修了するために取らなくてはならない英語教育関係の授業がいくつかありました(計16単位。修士論文と合わせて20単位)。もちろん、自分の専門分野の授業なので、一番の関心を持って臨んだのは言うまでもありません。その中から、ここでは特に印象の強かったお二人の先生の授業を紹介します。ただ、もう20年以上も前のことなので詳細な内容はあまり覚えておらず、印象的なエピソードのみとします。

 

① 英語授業研究(通年4単位、馬場哲生助教授…現教授)

この授業は、筆者の入学と同時に新しく着任された馬場哲生先生によるものでした。馬場先生はとても気さくな先生で、筆者の1つ年上という年齢の近さもあり、教師-学生という関係をあまり意識せず授業を受けさせていただきました。また、馬場先生は筆者の“担任”でもあり、修士論文の指導者でもあったので、2年間とても熱心にご指導いただきました。

 

馬場先生はこの後紹介する金谷憲先生の愛弟子でもあるので、授業研究を単なる主観的な感想で終わらせることなく、授業の細かい部分の分析を学生に求める授業をなさっていました。もちろん、研究者然とした机上の論理を振り回すようなことはなく、実際の授業を見て、それを元によりよい指導方法を考えるという実践的な路線を目指した授業でした。また、筆者の授業にも興味を持ってくださり、授業でもよく筆者に意見を求めてくださったりましたした。そこで、筆者の入門期指導の一連の授業(30時間分)のビデオを先生の研究材料としてご提供したりしました。

 

② 英語教育学研究(通年4単位、金谷憲教授…現名誉教授)

この授業は、当時すでに英語教育界でカリスマ的な人気のあった金谷憲先生によるものでした。金谷先生は後に教育学部長になられた他、関東甲信越英語教育学会会長、全国英語教育学会会長も務められ、文字通り日本の英語教育界を牽引してこられた先生です。

 

この授業は本来金曜日の4時限目(16:20~)に設定されていたのですが、実際には3時限目(14:40~)から行われおり、3時間みっちりと行われました。ただ、筆者は1年目は中3の担任で毎週金曜日は学年会があったので参加できず、2年目に取らせていただきました。

 

この授業は、本来であれば院生数名のための授業であるはずなのですが、毎回20名ほどが参加していました。それは、院生以外に現職の長期研修生、すでに単位を取り終えた院生、すでに修了したはずの人、そして馬場先生まで参加していたからです。仕事の都合で4時限目から参加しようものなら、院生室の外に置かれたイスに座って聞こえてくる中の様子に耳を傾けるしかなかったということもありました。

 

この授業では前の週の授業で必ずレポート課題が出され、出席者がそのレポートを授業の最初に提出すると、金谷先生はそれらにさっと目を通し、面白そうなレポートの題材を取り上げます。これだけでも金谷先生の頭の良さに驚きますが、その後に展開される出席者と先生との議論は時に自分の理解を超えた難しい話が飛び交うことがこの授業のすごいところでした。筆者が"参加"できるのは、議論されている内容が実際の現場の指導ではどうかという場面でしたが、そういう場面でも金谷先生は中途半端な勘に頼ったような指導は認めてくださらず、理論的な背景があって行われていることしか認めてくださりませんでした。そのことは自分の指導を客観的に見直す良い機会になりました。

 

以上が英語教育関係で特に印象に残った授業ですが、他にも修了に必要な単位として「英語教育方法研究」(通年4単位)、「英語コミュニケーション演習」(通年4単位)がありました。ただ、前者はアメリカの大学に留学していた際に取った大学院の授業を条件付きでトランスファー(単位交換認定)していただいたので、半期参加しただけで単位をいただきました。

 

また、英語教育以外には共通選択必修科目を4単位、他専攻を含めた選択科目を6単位取る必要がありました。それらの授業については次回お話しします。(9/5/2020)

 

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