(1) 南部編(1983年12月28日~1984年1月7日)

 この旅は、留学して初めての長期休暇を迎えた私にとって、初めてのアメリカ国内一人旅でした。
 その旅先として南部を選んだのは、この時期はアメリカの内陸部はどこも厳しい寒さで(ネブラスカ州ではすでに-20℃以下という日が2週間以上も続いていました)、その寒さから逃げ出したいという意図からでした。ただ、この年はフロリダ州でも霜による農作物の被害が出るほど全米中で寒波が吹き荒れており、はたして自分の思惑通りにいくかどうかはとても心配でした。
 とにかく、クリスマスを下宿先のみんなとのんびり過ごした私にとって、出発までは本当にワクワク・ドキドキ気分でした。

 

○長距離バス「トレイルウェイズ」による旅
 アメリカ国内を旅する方法は色々ありますが、もっとも安いのが長距離バスを利用することです。特に、外国人には予め自分の国で買うと「1日乗り放題で10ドル」という格安のチケットがあり、私もそれを利用しました。アメリカには「グレイハウンド」と「トレイルウェイズ」という2大長距離バス・ネットワークがありますが、最も大きいグレイハウンドはちょうどその時ストライキの真っ最中だったので、細かい目的地はトレイルウェイズで行けるところということになりました。【写真はニュー・オーリンズからマイアミに向かうときのバス】
 

○ジャズの街「ニュー・オーリンズ」
 今回の旅の最初の目的地は、ルイジアナ州のニュー・オーリンズでした。この街はジャズ(特にディキシーランド・ジャズ)のメッカとして有名です。私が到着したのが大晦日ということもあって、この季節としてはかなりの人出がありました。元々フランス領であったことから「フレンチ・クオーター」と呼ばれている一角は、まさにジャズ一色。「バーボン・ストリート」と呼ばれる繁華街を歩くとどこの店からもジャズが聞こえてきます。写真上の少年のようにジャズダンスを披露してお金を稼いでいる人もかなりいました。

 また、写真下は大学フットボールの祭典の1つである「シュガーボール」(8万人収容の「ルイジアナ・スーパードーム」で行われる)を記念した川下りのショウ・ボート上で撮ったもので、港で船を眺めていたらアメリカ人のご夫人からチケットを譲ってもらって乗れたというラッキーな経験でした。

 

○とにかくでかい「ディズニー・ワールド」
 今回の旅の2つ目のポイントは、フロリダ州オーランドーにある「ディズニー・ワールド」でした。当時はまだ「東京ディズニーランド」もなく、カリフォルニアの「ディズニーランド」にも行ったことがなかったので、どんなところかもわらからず、とにかく行ってみることにしました。まず驚いたのがその規模の大きさです。ここには、いわゆる「ディズニーランド」にあたる「マジック・キングダム」の他に、映画のアトラクションを集めた「MGMスタジオ」とディズニー版万博といえる「エプコット・センター」というテーマ・パークがあり、それぞれが最低丸1日なければ見ることができない規模で、それぞれがモノレールで結ばれています。しがたって、チケットも「3日券」などという物が売られており、多くの人が利用していました。私は「マジック・キングダム」しか行かなかったのですが、今考えればもっとゆっくり時間をとって楽しんでくればよかったと思っています。1つだけ嬉しかったのは、1月2日に行ったのにもかかわらず中はガラガラで、アトラクションに行列を作って待つということがまったくなかったことです。写真上は、「東京ディズニーランド」でもおなじみのメイン・ストリートで撮ったもの。

 写真下は、前日に泊まったユース・ホステルで知り合い、一緒にアトラクションを楽しんだオーストラリアの高校生とメキシコの女子高生と撮ったものです。

 

 

 

○ついに行ったぜ!「ケネディー・スペース・センター」
 3つ目のポイントは、2つ目と同じオーランドーにある「ケネディー・スペース・センター」でした。ここは、アポロ・ロケットやスペース・シャトルなどを打ち上げる場所です。テキサス州ヒューストンに管制センターがあるためにそちらで打ち上げられていると勘違いされていることが多いようですが、実はアメリカの宇宙船のすべてがここで打ち上げられています。アポロ11号の打ち上げ(1969年7月)に魅せられてから宇宙に興味を覚えた私は、ここをいつかは訪れたいと思っていたので、ここに到着したときは本当に感激しました。
 写真上は、アポロ11号の月面着陸船のレプリカです。

 写真下は、スペース・シャトル発射台をバックに撮ったものですが、打ち上げと打ち上げの狭間にあたったために(当時は2ヶ月に1回の打ち上げ)、シャトルそのものを見ることはできませんでした。

 

 

○アトランタは「風と共に去りぬ」
 新学期の最初の授業が間近に迫っていたので、フロリダで他に行きたかった場所(例えば最南端のキー・ウエスト)をあきらめ、帰路の途中でジョージア州のアトランタを訪れました。ここは、今でこそオリンピックで有名になっていますが、当時はあの「風と共に去りぬ」の舞台として知られている程度でした。映画通の私としても何かこの映画にゆかりの地があるだろうと立ち寄ったのですが、ガイドブックに載っていた肝心の博物館は廃館になってしまっており(現在は新しいものがオープンしているようです)、結局は何もできずに半日を過ごしてしまいました。
 写真は、市内を歩いているうちに見つけた州会議事堂です。
 なお、この後、ネブラスカ州オマハまで52時間バスに乗りっぱなしだったのは、3回の旅の中でも最長記録となりました。

 

(2) 東部編 へ

元に戻る