誰も気づかなかったであろう話

筆者の学校(以下、「本校」)では、かれこれ20年くらい前から学校説明会が行われています。以前なら国立大学附属中であれば黙っていても生徒を集められたわけですが、年々減っていく受験者の数を目の当たりにするとそうも言っていられなくなり、本校でも私立学校のように受験生(この場合は小学生とその保護者)を対象にした説明会を開くようになりました。

 

毎年3回同じ内容の説明会を行っていますが、約500人が入れる講堂が毎回ほぼ満員になるくらい盛況です。主な内容は、①挨拶(校長)、②本校の教育(副校長)、③授業と学校行事(部員)、④生徒会役員による学校紹介、⑤卒業生の話(1~2名)、⑥生徒募集要項の説明(教務部長)で、一般の参加者からも教育関係者(塾関係者)からも毎年おおむね好評です。ただ、今年は新型コロナウイルス感染症のために開くことはできず、①、②、④、⑤(ただし、集団による対談形式)、⑥をオンラインで公開しています。

 

さて、その中の⑤卒業生の話では、ほぼ毎年のように中学校時代の英語の授業の話が出てきます。他教科の先生には大変申し訳ないのですが、話す内容については事前に何も打合せしない中で毎年のように英語科のことが出てくるので、それだけ彼らにとって本校の英語の授業は印象的であり、その後の進路においても少なからぬ影響を与えたということなのでしょう。英語科の教員としては本当に嬉しいかぎりです。

 

そのような中で、昨年度の説明会に来てくれた卒業生A君の話はとてもユニークでした。A君は現在T大に通う秀才です。そのA君が面白いことを話し始めました。「ボクが中学校時代に先生から聞いた話で一番記憶に残っているのは、卒業間際にある先生がオートバイで日本一周をしたときのことを話してくれたことです。当時は『この先生はなんでこんな話をするんだろう?』と思って聞いていましたが、大学生となって将来のことを考えている自分にとっては、最も大きな影響を与えてくれている話です。その時に先生がくれた新聞のような旅行記を今改めて読み直しています。」という趣旨の話をしたのです。

 

もちろん、その話を聞いていた参会者の方にはその先生が誰かなど興味もなかったでしょう。そして、おそらくその場にいた本校の先生方にもそれが誰かということを探り当てようとは思わなかったでしょう。本校には毎年大学院生の非常勤講師が入れ替わり立ち替わり勤めていますし、教育実習生もいっぱい来ますから、おそらくそのような若い先生か学生の一人がそんな話をしたのだろうと思ったにちがいありません。その証拠に、説明会が終了した後にそのことを話題にした先生は一人もいませんでした。

 

しかし、筆者はその話をした教員が誰かを知っています。それはその話が本ホームページに載っているからです。関心のある方は、「土台を支える経験」「1. 日本一周バイク一人旅」をご覧になってみてください。中学生にはちょっと早いかなと思って話したことでも、月日を経て大きな影響を与えることがあるのだなと改めて思いました。(11/21/2020)

 

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