家系図

突然英語教育とは関係ない話ですが、みなさんはご自身の家族の家系図をお持ちですか?

 

「ええ、ありますよ。江戸時代から続く家系図があります。」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、多くの方は「古い家柄の家族ならともかく、うちの家族はごく普通の家だから、そんなものはないね。」とおっしゃるかもしれませんね。

 

筆者の家族の場合はどうかと言うと、父方の家系図も母方の家系図もあります。父方は江戸時代後期まで、母方は明治の初期までさかのぼれます。ただ、それは両方の家族とも由緒ある家系だからではありません。いずれも筆者が調査してそれらの家系図を作成したからです。

 

「どこの家系にも一人くらいこういう家系図を作る人がいるんだよねえ…」とは、筆者が最初に作った初版の家系図(平成9年4月1日発行)をしげしげと眺めて喜んでいた、父の長兄の一人(四男、故人)です。そういう風に言ってもらえると作った甲斐があるというものです。

 

そもそも筆者が家系図を作ろうと思った最初のきっかけは、高校時代までさかのぼります。それは、1977年に放送されたアメリカのテレビドラマ『ルーツ』(Roots)を見たことでした。同ドラマは、本国で平均視聴率45%、日本でも同23%をあげた大人気ドラマでした。8日連続で放送され、初回から全話見たのを覚えています。そのドラマの原作者アレックス・ヘイリーが自分の家系をたどっていって、5代前の高祖父がアフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられたのを突き止め、その高祖父から本人まで続く激動の家族史を本にしたのです。それは同時にアメリカの奴隷の歴史や人種差別の歴史そのものでもありました。その原作を大河ドラマにしたのが同作品でした。そのドラマを見て以来、いつか自分も自分の家系をたどってみたいとずっと思っていたのです。

 

それを実際に作ろうと思ったのは、平成4年に父(六男)が亡くなったことがきっかけでした。父方の本家は埼玉県所沢市で江戸時代から人形店を営んでいる老舗(平成17年廃業)で、当時の店主であった父の長兄(次男)からよく昔話を聞いていたからです。叔父はそういうことに関心を持っている私が店に来ると、よくいろいろなことを話してくれました。その叔父も当時すでに80歳近くなっていたので、先祖の話を聞くのも今のうちだろうと思ったということもありました。

 

その叔父は、さすが江戸時代からお店(明治時代は提灯屋でした)をやっていた家の当主だけはあります。代々聞き伝えられてきたことをたくさん知っていましたので、叔父の話から家系図の骨格ができました。また、傍系(祖父の弟方の家系)のことを聞けそうな親戚(叔父の従兄弟)が川越市に住んでいたので、その人のことを知っている母に一緒に行ってもらって話を聞いたりもしました。その親戚からは、傍系の詳細な人名を聞くことができました。ただ、それらの人の話だけで家系図を書くのは正確さに欠ける可能性があったので、お墓や戸籍を調べることにしました。

 

幸い、本家の墓がある墓地は筆者の実家から歩いて3分くらいのところにあるので、頻繁に訪れて調べることができました。そこに結構広い墓があって、墓石が小さいものも含めると17基も並んでいます。まず、すべての墓石に何が書かれているかを読み取って、その詳細な内容の記録を墓石配置図と共に作成しました。その結果、一番古い物は1672年のものであることがわかり(以下、1675年、1714年、1817年、1844年のものもある)、その時代から家系が続いていることが判明しました。ただ、古い墓石のいくつかは表面が痛んでいるために刻字が不鮮明で、読み取れないものもありました。また、戒名からは正確な本名がわからない人もいました。

 

次に行ったのは戸籍の調査です。正確には古い物なので「除籍」といいます。市役所の市民課に行ってまず祖父の除籍を取り(直系の親族にかぎり、対象者の住所・氏名がわかり、自分との関係を示せる物及び身分証明書があれば取れます)、それを元に曾祖父のものまで取りました。しかし、その上の代の除籍は取れませんでした。ただ、曾祖父の除籍にはその兄弟姉妹やその祖父の名前まであったので、そこまでは確実な記録を手に入れることができました。

 

以上のものを元に作ったのが件の初版ですが、戸籍や墓石の刻印を詳細に読み込んで分析していくと、さらにいろいろなことがわかってきました。そこで、新たな事実が判明する度に第二版(H9.8.15)、第三版(H12.1.1)、第四版(H28.1.1)と改定を重ね、最新の第五版(H28.3.1)まで来ています。その最新版は先述の父の長兄(四男)のお葬式の際に親戚に配りました。

 

事実を元にした戸籍作成はほぼ終了していますが、周辺事項についてはまだ調べられることがあります。それは先述のとおり本家が商店だったからです(平成17年に廃業して、跡地に高層マンションが建設されました)。しかも、所沢市(旧所澤町)で最も長い歴史をもつ商店街にあったお店です。こういう商店街はたいてい古い市街図に載っています。そこで、市立図書館でそれを調べてみました。そうしたところ、明治や大正時代の市街図がいくつか見つかり、それらには店主名として除籍に載っていた先祖の名前がありました。ただ、それは家系図に新たな情報を加えられるような情報ではありませんでした。

 

今後はどのような調査ができるでしょうか。家系図に載っている名前の中で自分と同じ代の従兄弟やその子供たちは知っていますが、祖父の兄弟の子孫には会ったことがありません。それらの人たちを訪ねれば傍系の方に新たな情報を書き加えることができるでしょうが、いきなり見知らぬ親戚が訪ねて行ったらきっと驚くでしょうから、今のところは遠慮しています。

 

なお、上記の最新版(第五版)を下にPDFで上げておきます。もちろん、プライバシー保護の観点から公開版では名前を消してあります。

 

みなさんもご自身の家系図を作ってみてはいかがですか? 戸籍(除籍)は直系の家族であれば身分証明書を示して関係を説明すれば市町村役場で取ることができます。除籍の保存期間は以前は80年でしたが、平成22年に法律が変わって150年とされましたので、戦災で失われていなければ明治時代初期、上手く行けば江戸時代末期の頃のものくらいまで情報を得ることができるはずです。(12/26/2020)

 

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肥沼家家系図(第五版)
家系図5(HP用).pdf
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