3.自分の授業を録画して見ること

実は、自分一人でできる最も簡単な研修方法がこれです。ただ、自分の授業を録画して見るということがなんとなく気が進まないという先生も少なくないかもしれません。それは、自分でもわかっている自分の欠点のようなものを映像で再確認することになるような気がするからでしょう。しかし、思い切ってやってみることをお勧めします。案外、自分が思っていたほど“ひどい”授業ではないこともわかるでしょう。

 

自分の授業を録画して見ることの利点は、自分の授業を自分で客観的に見ることができることです。例えば、生徒に向かって話をするときにどのような姿勢や視線で生徒に向かっているのか、どのくらい適切なことばを使っているのか、どのくらい論理的な指導過程を組んでいるのか、等を知ることができます。また、生徒側の視点にカメラを置いておけば、生徒に自分がどのように映っているのかもわかりますし、生徒の方にカメラを向けておけば、自分の指導に対して生徒がどのような反応を示しているのかを正確に読み取ることができます。

 

そして、もし時間があれば、録画したビデオを“聴いて”、自分が話したことと生徒が話したことを書き起こしてみてください。そうすると、指導過程や個々の活動の細かい分析ができます。また、自分の口癖もわかり、授業で話すことば(英語も日本語も)を修正するきっかけを得ることができます。

 

筆者の場合であれば、「授業は英語で」で取り上げている2つの例がありますが、「① 英語で行う中学校1年生授業」では50分間授業全部を書き起こしたことで、その間に"O.K."を計200回も言っていることがわかりました。おそらく自分の発言に自信がなかったのでしょう。もちろん、その後はそういうことはなくなり、今ではほとんど"O.K."は言いません。また、「英語で行う中学校2年生の授業」では、新出文型(more, mostを使う比較)のオーラル・イントロダクションの様子を書き起こしてありますが、自分がその文型をどのように導入したら生徒にストンと理解させられるかを考えた過程を読み取ることができます。そして、それを自分が講師として参加する研修会、大学の教科教育法の授業、教育実習生の事前指導等の資料としても使っていますが、そうすることによってさらに自分の授業をしっかり行おうとする動機付けにもなっています。

 

このように、自分の授業を自分で見て改善することができるのがこの方法です。ちなみに、筆者は上記を含めて約200時間分の自分の授業のビデオを持っています(約30本が公開授業で、その他は通常の授業を固定カメラで撮ったもの)。若い頃のものほど恥ずかしい実践をしていたのがわかりますが、逆に言えば筆者も経験を重ねるにつれ少しずつ指導技術が向上してきたということをビデオから知ることができたということです。

 

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