59. 一番短い話

【きっかけ・ねらい】

この話は、その日の終礼の様子を見て思いついた話です。学芸発表会というイベント的行事を間近に控えていたせいか、全校生徒の落ち着きがなくなっていることが多くの教員から指摘されており、それは5組も同じことでした。終礼中も私語が目立ち、せっかく「今日の反省」のコーナーである生徒がクラスの良かった点を指摘したのに、それを聞いていた生徒はごくわずかでした(良いことが出ると大きな拍手が起こるのに、この日はそれがまばらでした)。そこで、そのことをズバリ指摘しようと思いました。

 

【手順・工夫】

実は前日も少し長めの時間を使ってあることを注意する話をしていたので、この日は伝えたいことを端的に話そうと思いました。その方法として思いついたのは、「これからある質問をします。それを聞いて私が言いたいことを察しなさい」という論法で生徒に迫ることでした。そして、短くも強烈なメッセージにしようと思いました。

 

【実際の会話】10/26

T:(ざわつきが収まっていないので)はいっ、静かにしなさい!

S:(ようやく静かになった)

T:これから今日の終礼を見ていて感じたことを一言で言います。それを聞いて私が何をみんなに言いたいか感じ取りなさい。

S:(「いったい何だろう?」という関心と「しかられるかも…」という不安の顔)

T:今日の反省のところで、A子さんが言った内容を覚えている人は手を挙げなさい。

S:(A子の周りの生徒を中心に10名ほどが手を挙げる。拍手をした生徒とほぼ一致)

B男:(手を挙げていないA子に)お前が覚えてないの?

A子:(戸惑った顔をしている)

T:(B男に)いいの。A子さんは自分で言ったんだから。

B男:(「すみません」と頭を下げる)

T:なるほど。約10名ですね。そのくらいの人しか覚えていないということですね? はい、これで私が何を言いたいかわかりましたね?

S:(うなずいている生徒が多い)

B男:うるさくってみんな聞いてなかったってこと?

S:(あえて誰も反応しない)

T:(自分もB男の発言にはふれず)では、これでおしまい。

 

【こぼれ話】

さすがに次の日以降の終礼では連絡や仲間の発言を静かに聞いていました。

 

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