『指導と評価』編集後記(特集:情報教育の充実)

※記事の一番下に雑誌記事の現物(PDF)があります。

 

筆者が1983年にアメリカの大学に留学したときに受講した科目の1つに、 BASICというもっとも基本的なコンピューターのプログラム言語を学ぶ授業があった。当時まだ日本でパソコンをいじったことすらなかった筆者にとって、論理的にプログラムを書くことができればそれが実際に動くということは大変面白かった。

 

小学校でプログラミング教育が始まったが、その目的の筆頭は「『プログラミング的』思考を育むこと」とされている。つまり、プログラミングをとおして論理的思考力を育てるということである。しかし、はたしてそれをすべての子どもにやらせる必要はあるのだろうか。なぜなら、今やコンピューターのハードやソフトの中身はかなりの知識をもった技術者でなければ理解できないほど進歩しているからである。ところが、子どもたちは何の説明もなく直感的にそれらを使いこなすことができている。

 

一方、それらを使用した子どもたちのトラブルは教師の理解をはるかに超えるスピードで増えている。すべての子どもに対して行う指導でもっとも必要なことは、プログラミングよりコンピューターやソフトを使用するメリットとデメリットをしっかりと教えることではないだろうか。

 

(『指導と評価』2022年11月号、図書文化)

 

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指導と評価2022年11月号「編集後記」.PDF
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