0.や1. の内容にも関係しますが、よく「3年後の生徒の姿を見据えてバックワード・デザインで毎時間の授業を考えることが大切だ」と言われます。では、「バックワード・デザイン」とはどういうことなのでしょうか。
これは、「育てたい生徒像」を最終目標の出発点として日々の実際の指導を考えるという、時間の進行とは逆の発想で指導内容を考えて行くことを言います。「育てたい生徒像」を考えても、実際にそれをどう実現していくかという道筋を考えなければ、目標とする生徒は育ってくれません。それは、最終目標である「育てたい生徒像」に至る系統的・継続的な指導を計画的に行わず、教科書に沿ってその内容を単に扱っているだけでは、最低限のことしか生徒に身につけさせることができないからです。
最終目標が決まったら、次に2年生の最後までと1年生の最後までにどのようなことができるようにさせたいかという学年目標を考えます。そして、その学年目標に向かって、各学期や各単元で行いたいコミュニケーション活動(「コミュニケーション活動」参照)やイベント活動(「イベント活動」参照)を考えます。そして、それらの活動を実行するために必要な力を身につけさせるために行う言語活動を考えるのです。この最後に示した言語活動が毎時間の授業に組み込まれる活動となります。
ただ、そうやって考えた活動が本当に最終目標に迫るために有効な活動かどうかはやってみないとわかりません。現在教えている生徒たちには申し訳ないのですが、試行錯誤をしながら有効な活動を考え出し、次の学年でその改訂版を行い、また次の学年でその改訂版を行う‥、という方法が現実的でしょう。
もちろん、書籍や研修会等で紹介される活動をやってみるという方法もあります。ただ、その場合であっても、先に「育てたい生徒像」があって、そこに至るために必要な活動であるということで選ぶことが大切です。「有名な先生がやっている活動だから‥」という理由だけでその活動を行っても、その先を見据えていない活動はその効果を有効に発揮してくれません。
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