このドラマは、2024年7月に発行される予定の新しい1万円札の肖像画になる渋沢栄一の生涯を描いた作品です。武蔵国血洗島村(ちあらいじまむら。現・埼玉県深谷市血洗島)に藍染農家の長男として生まれた栄一は、やがて武士や明治政府の役人にまでなりますが、のちに民間に転じて500以上の会社の創設に関わり、日本の経済発展の基礎を築きました。
少年期を演じていたのは後に2023年度NHK朝ドラ『らんまん』で槙野万太郎の少年期(9-12歳)も演じた小林優仁くん、青年期以降を演じたのは目力が強いイケメン俳優の吉沢亮さんでした。
栄一の学齢期は江戸時代末でしたので、本人及び仲間に附属中の関係者はいませんが、彼の息子の代以降になるとたくさんの附属中卒業生がおり、親戚筋を孫の代まで探しただけで、計24人の附属中卒業生が見つかります。今回はその中からドラマに出てきた人を紹介します。
(1) 栄一の息子たち
〇渋沢武之助(四男)・渋沢正雄(五男)・渋沢秀雄(六男) 附属中学校卒業生
栄一には先妻・千代との間に男子が2人(長男・市太郎は夭折)、後妻・兼子との間に男子が4人(三男・敬三郎は夭折)がいました。このうち、四男、五男、六男が附属中の卒業生です。栄一の子供たちに関しては、夭折した男子を「~男」と数えない資料もありますが、氏名にある漢数字(篤二、敬三郎、正雄など)との整合性をとるために、ここでは夭折した子も含めた何番目の男子(女子も含めた子供の場合もあり)かという表示にします。
【武之助】
(本人写真不明)
四男・武之助氏は附属中第14回卒業生で、東京帝国大学法科大学に学んだものの、病気で中途退学し、実業界に進みました。石川島飛行機製作所社長などを歴任しました。
少年期を演じたのは加藤櫻華くん、青年期を演じたのは俳優の山口大地さんでした。
【正雄】
(本人写真不明)
五男・正雄氏は附属中第15回卒業生で、東京帝国大学法科大学を卒業し、石川島自動車製作所社長などを歴任しました。
少年期を演じたのは番家天嵩くん、青年期を演じたのは俳優の竹内寿さんでした。
【秀雄】
六男・秀雄氏は附属中第19回卒業生で、東京帝国大学法科大学を卒業し、田園都市株式会社取締役などを歴任しました。
少年期を演じたのは菊池琢眞くん、青年期を演じたのは俳優の遠藤健慎さんでした。
(2) 栄一の孫たち
〇渋沢敬三(篤二の長男)・渋沢信雄(同次男)・渋沢智雄(同三男) 附属中学校卒業生
栄一の嫡男であった次男の篤二(とくじ)には3人の息子がおり、いずれも附属中の卒業生でした。
【敬三】
篤二の長男・敬三氏は、附属中第24回卒業生です。廃嫡となった篤二に代わって家督を継ぎ、附属中を卒業したと同時に渋沢同族株式会社の初代社長となりました。東京帝国大学経済学部を卒業し、日本銀行総裁、経済団体連合会相談役、国際電信電話初代社長、文化放送初代会長などを歴任しました。
少年期を演じたのは塚尾桜雅くん、青年期を演じたのは俳優の笠松将さんでした。最終回のスピーチがとても印象的でした。笠松さんは、2023年のNHK朝ドラ『らんまん』にも出演していました。
【信雄】
(本人写真不明)
篤二の次男・信雄氏は、附属中第25回卒業生です。京都帝国大学文学部を卒業し、実業家として活躍したあと、澁澤倉庫監査役などを務めました。
少年期を演じたのは森口太翔くん、青年期を演じたのは俳優の岡部ひろきさんでした。
【智雄】
(本人写真不明)
篤二の三男・智雄氏は、附属中第29回卒業生です。北海道帝国大学農学部を卒業し、実業家として活躍したあと、澁澤倉庫常務取締役などを務めました。
少年期を演じた子役はクレジットされていませんが、青年期を演じたのは俳優の越中優人さんでした。
〇穂積重遠(歌子の長男) 附属中学校卒業生
栄一の長女・歌子と穂積陳重の長男・穂積重遠(しげとお)氏は、附属中第10回卒業生です。東京帝国大学法科大学を卒業して法学者となり、東大の法学部長も務め、中央大学創立者の一人でもありました。
重遠(あかちゃん)役を演じた(?)のは、無名のあかちゃんでした(第37回「栄一、あがく」)。
※重遠氏の弟3人(律之助氏、貞三氏、真六郎氏)も附属中の卒業生(第11回、第13回、第15回)です。
〇阪谷希一(琴子の長男) 附属中学校卒業生
栄一の次女・琴子と阪谷芳郎の長男・阪谷希一(きいち)氏は、附属中第16回卒業生です。東京帝国大学法科大学を卒業し、日本銀行に勤めたのちに総務庁次長、貴族院議員などを歴任しました。
希一(あかちゃん)役を演じた(?)のは、無名のあかちゃんでした(第38回「栄一の嫡男」)。
※希一氏の弟・俊作氏も附属中の卒業生(第19回)です。
以上が『晴天を衝け』に登場した附属中の関係者でした。なお、上記の人たちを含めて先述した渋沢栄一の親戚筋の卒業生24人全員の情報は、「つぶやき」コーナーの「102. 『晴天を衝け』と本校関係者(その2)」にあります。
<おまけ> 役者として
実は、同ドラマにはもう1人、附属中の関係者が登場していました。それは、卒業生でも元教官でもなく、附属中の現役の職員です。つまり、俳優として出演していたというわけです。長年プロの俳優もしているその人(名前は伏せます)は、ドラマでは芸者の置屋の女将として2話に出演しており、女優・木村佳乃さんとの会話の台詞もある重要な役を演じていました。当該回のオープニング・テーマの画面には、3名連記の一人として芸名がクレジットされています。
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