アメリカ短期留学

1. 概要

 

この行事は、2012年度から毎年行われているものです(コロナ禍で中止になった2019年度と2020年度を除く。2021年度は国内で代替行事)。そもそものきっかけは、当時筑波大学学校教育部(市町村の教育委員会に相当する機関)の学部長の先生が、「学部長裁量経費を出すから、国際教育をやってみないか?」と予算を付けてくれたことでした。その予算を、イングリッシュ・ルームの整備とかねてより生徒や保護者から要望の多かった海外短期留学の準備に使うことになりました。

 

前者については、本コーナーの「イングリッシュ・ルーム」の項目ですでに紹介済みですが、後者については今回が初めての紹介となります。

 

予算が付くとすぐに、英語科の先生を含む4人の「国際教育推進委員会」が発足し、滞在先をアメリカに絞って、短期留学の提携先を探し始めました。そうは言っても、素人にそう簡単に見つけられるわけがありません。そこで、海外留学に実績のある旅行業者に探してもらうことになりました。そして、ほどなくして、メリーランド州マリオッツビルという町にある私立の小中高一貫校が提携先に手を上げてくれました。

 

そうして始まったのが、今回紹介する短期留学です。ただ、最初の学校は2年したところで提携先を降りてしまったので、筆者が引率した2014年度(2015年3月実施)は、ペンシルバニア州フィラデルフィア近郊(車で約1時間)のセラーズビルという小さな町にある小中高一貫の私立学校「フェイス・クリスチャン・アカデミー」(Faith Christian Academy)に変更されていました。その後はコロナ禍があったこもあって、数年ごとに留学先が変わり、2023年度の時点では4校目となっています。

 

<これまでの留学先一覧>

・2012年度…メリーランド州マリオッツビル Chapelgate Christian Academy

・2013年度…メリーランド州マリオッツビル Chapelgate Christian Academy

・2014年度…ペンシルバニア州セラーズビル Faith Christian Academy

・2015年度…ペンシルバニア州セラーズビル Faith Christian Academy

・2016年度…ペンシルバニア州セラーズビル Faith Christian Academy

・2017年度…ペンシルバニア州セラーズビル Faith Christian Academy

・2018年度…ペンシルバニア州ポッツタウン West-Mont Christian Academy

・2019年度…(コロナ禍で中止)

・2020年度…(コロナ禍で中止)

・2021年度…国内で代替プログラム(ワークショップ、講義、体験学習、レッスン等)実施

・2022年度…ペンシルバニア州ポッツタウン West-Mont Christian Academy

・2023年度…ペンシルバニア州ランカスター Lancaster Catholic High School

       ※1・2年生を対象とした国際交流プログラム(2021年度同様)も実施

 

2. 参加者募集

 

当初よりこの行事は人気が高く、費用が40〜50万円かかるのにもかかわらず、定員36名に対して毎年2倍以上の応募者がありました。応募にあたっては、2年生以上であること、「イングリッシュ・ルーム」に自主的に最低2回は通った実績があること、申込時に長文のレポートを書かくことなどの条件を課していますが、それで応募者が減ることはありません。なお、2年次にこの行事に参加すると、翌年は参加資格がありません。

 

参加者の決定は、上記の条件をクリアーした上で、日頃の授業への取り組み状況(先方ではアメリカ人の生徒と一緒に授業を受けるため)などを考慮して行い、3年生を少し多めにしています。

 

3. 引率報告

 

前置きが長くなりましたが、ここからは筆者が引率教員の一人となった、2014年度(2015年3月実施)の実施内容ついて、写真を使いながら説明します。

 

参加者36名と引率教員2名です。出発前に成田空港で記念撮影をしました。出発日は、基本的に学年末修業式の翌日以降、つまり春休み中になります。筆者ともう1人の教員は、途中からの交代要員として5日遅れて参加しました(つまりこの写真には写っていません)。


成田からフィラデルフィアまでの直通便がなかったので、デトロイトで乗り継ぎをしました。

フィラデルフィアに着くのが現地の夕方なので、ホテルで一泊して翌日に受け入れ校に行き、校長先生の歓迎を受けた後、現地の生活全般についてのオリエンテーションを受けました。

 


各生徒がホームステイする家族(ホスト・ファミリー)と初対面し、それぞれがホストの車で滞在先に散っていきました。

 


平日は、基本的に現地の生徒に混じって授業を受けます。当然すべて英語ですが、日頃から「聞くこと」「話すこと」を中心とした附属中の英語の授業を受けているので、何の心配もありません。



昼食は、ホスト・ファミリーが用意してくれたお弁当(たいていは簡単なサンドイッチ程度)か、学校のカフェテリア(体育館に昼だけ設置)で好きなものを注文して食べます。



学校が終われば各ホスト・ファミリーと一緒に過ごします。休日にはいろいろなイベントを経験したようです。

 


期間中、1日だけみんなでフィラデルフィア観光をしました。左(スマホでは上)は1776年にアメリカが独立を宣言したときに鳴らされた「リバティー・ベル」、右(同下)はその独立宣言がなされた「独立記念館」(世界遺産)の前です。ジャンプしている左端と右端の生徒は現地の生徒ですが、どこの国でも中学生ががやることは同じようです(笑)。

 

こちらは、フィラデルフィア美術館前で、街を望むことができる長い石階段の頂上で撮った写真です。フィラデルフィアは、1978年にアカデミー作品賞を受賞した映画『ロッキー』の舞台となった街で、同作品の中でロッキーがこの階段を一気に駆け上がり、街に向かって両手を高く掲げるシーンが有名です。そこで、それを全員で再現しました。

 

上記の階段の下には、街の英雄であるロッキーの銅像があります。フィラデルフィアで一番人気のある(?)観光地なので、写真を撮るにはかなり並ばなくてはなりません。



この年は、イースター・ホリデーが期間中に入っており、それぞれがホスト・ファミリーとともにそれを祝ったり(左)、有名なイースター・エッグを作ったり(中)、あちこちで見たり(右)することができました。

 


最終日前日は、講堂(教会)で本校生徒主催の発表会を行いました。事前に練習してきた合唱を披露したり、女子の何人かが浴衣姿で歌を歌ったりして、お世話になった人たち全員に感謝の気持ちを表しました。

      

発表会の後には、ホスト・ファミリーとの記念撮影を行いました。



最終日に現地を出発する際には、生徒たちもホスト・ファミリーも笑顔や涙で別れの挨拶をしました。


こちらは筆者(右)がイースター・ホリデーの日だけお世話になったホスト・ファミリーです。御夫婦(左の2人)は、以前に東京都小平市に住んでいたことがあり、同市も通る西武新宿線沿線の所沢航空記念公園(筆者の実家から徒歩5分)で子供をよく遊ばせたという親日家で、おかげで大変居心地のよい時間を過ごさせてもらいました。

 

たくさんの思い出を胸に帰路の飛行機に乗ります。喜びのあまり興奮して眠れない生徒もいれば、疲れてすぐに寝てしまう生徒もいました。


 

以上が筆者が引率した年の短期留学の様子です。ただし、研修内容はその年や滞在先によって異なるので、あくまでも参考程度のものだと思ってください。

 

なお、帰国後には、それぞれの生徒に報告書の執筆や報告会での発表が課せられます。どの生徒も本当に有意義な経験ができたと胸を張って述べていました。読者の方が受験生でこの行事に関心があるようでしたら、入学後に応募してみてください。