ここでは、話したいことが思い浮かんだところで、その話をどう構成したらいいかということについてまとめてみたいと思います。
筆者の場合、たいていはそれを手帳に書いたり、パソコンで打ったりしています。つまり、事前に1つの話としてまとまりのあるものにしておくということです。こうすることによって、最終的な結論に至るまでに何を話しておいたらいいかということがわかります。また、途中で話がぶれたり、あらぬ方向に行ってしまったりすることを可能なかぎり防ぐこともできます。
ある話をしようと思ったときに、その話を構成する上で筆者が心がけていることがいくつかあります。それをご紹介しましょう。
① 本題につながるイントロの話を入れる
何かを伝えたいとき、できるだけ効率よく話そうとするのは教師の性でしょうか。しかし、授業と同様に、いきなり結論を伝えるのでは生徒の思考を活性化することはできません。そして、思考が活性化されていないと、どんなに効率よく話せたつもりでも、その内容は生徒の頭の中に残りません。
本当に自分が伝えたいことを生徒に根付かせたいのであれば、少し遠回りしてでも生徒が食いついてきそうなイントロの話から入るようにします。筆者が生徒に何か伝えたいことを話すときは、ほとんどの場合“回り道“のイントロ話から入ります。もちろん、その「回り道」のイントロ話は伝えたい本題と必ずどこかでつながっています。なぜなら、それはそのイントロ話が本題から逆算していってたどり着いた話だからです。
そうした内容であれば、話している最中に生徒に「先生はなぜこんな話をしているんだろう?」と思われるような話であっても、後から「そうか。先生はこの本題を話したかったから、あのイントロ話をしたんだ」と納得してくれます。
その“回り道”のイントロ話は、できるだけ生徒の関心を引くような内容にします。前ページ「(1) 話の内容について」を参考にしてください。
② 笑いとシリアスが混ざった構成にする
ストーリーの面白さで大ヒットする映画の多くには、ある共通点があります。それは、笑いとシリアスが混ざった話であることです。たいていは前半部分で大いに笑わせ、後半でホロッとさせるような展開です。SF映画の大ヒット作『E.T.』(1983)などはその典型でしょう。こういう内容の映画では、観客は笑いと涙の両方を経験できるので、見終わったときに大きな満足感を得られます。
そして、この順番が大切です。楽しい話は人の心を開かせます。逆に、いつも叱ったり注意したりする話ばかりだと、人は心を閉ざしてしまいます。したがって、たまには真面目な話をする前に少し笑いを取るような話を入れてみてはどうでしょうか。もちろん、むりやり面白くする必要はありません。伝えたい内容に関連したことで、生徒の興味・関心を引きそうな面白いエピソードなどが思い浮かんだ場合はそこから入ってみてください。
別に必ずしも上記のような“2部構成“にしなければならないということではありません。大切なことは、話が一本調子にならないようにするということです。笑いっぱなしでは大切なことを言いそびれてしまいますし、あまりにもシリアスな話ばかりでは聞いている方が疲れてしまうということです。上手に笑いとシリアスを混ぜることが大切です。
③ 話し方を考えた構成にする
生徒に話す内容ですから、生徒に理解してもらうことが最大の目標です。したがって、話の構成を考えるときには、その話を最大限に理解してもらう方法も考慮します。その話し方の具体的なポイントは次ページ「(3) 話し方について」で詳しく述べています。
冒頭で話が決まると話す内容の原稿を書くということにふれていますが、その場合に大切にしていることは、教師の具体的な発言だけでなく、それに対する生徒の反応まで想定して原稿を書くということです。これは、自分の発言が生徒にどのような心境の変化を与えるかをあらかじめイメージすることでもあります。
そこまで考慮して話を構成していると、途中で最終的に伝えたい内容を目指す上で不足している点や場合によっては話の矛盾点に気づくこともあります。それらに気づけば、事前に話を修正しておくことができます。これは授業であらかじめ教師の発言と想定される生徒の反応(発言)を学習指導案に書き込むことと同じです。おそらく多くの先生が教育実習中に経験したでしょうし、中には教師になってからも続けている方もいらっしゃるでしょう。筆者もその一人です。
以上が話を構成する際に気をつけたい点です。
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