これまでは客観的な描写によるbe動詞を使った文を扱ってきましたが、ここで初めて一人称と二人称の表現を指導します。ほとんどの生徒が知っている表現だと思いますが、立場を明確にして正確に表現するのは案外簡単ではありません。しっかりと指導したいものです。
今回はユニバーサルな方法というより、筆者独特の導入方法です。もっとも、25年以上前からずっとやっている方法ですので、ある程度定番化したものではあります(笑)。
では、具体的な導入方法を紹介します。導入過程の中の T: は教員の発言、S: は全体または大勢の生徒の実際のまたは想定される発言、S1:, S2: は生徒個人の実際のまたは想定される発言を表します。なお、発言中の太字は強調して発音する部分です。
◇Introduction of the New Expressions
(1) Introduction of "I am ~."
① Input
T:(記憶喪失になったジェスチャーをしながら)Oh, what is my name?(×2)
S: It is Mr. Koinuma.
T: Mr. Koinuma? Then I say, "I AM Koinuma."(×2) You, you Koinuma?
S: No.
T:(ある生徒に)You, Koinuma?
S1: No.
T: I am Koinuma. Then you say...?
S1: I am Sato.
T: Oh, I see(×2)(別の生徒に)You, Sato?
S2: No, I am Ishida.
T: Oh, I see.(同じようなやりとりを数名と繰り返す)
② Check of understanding and Mim-mem
T:(スピーチバブルを自分にかざして)My name is Koinuma. (スピーチバブルを指して) Then I say,...?
S: I am Koinuma!
T: Oh, I see. I am Koinuma!(そのままの姿勢で)Now, everyone, repeat, "I, AM, I am Koinuma."
S: I, am, I am Koinuma. → Mim-mem
T: Now, everyone, please say "I am (your name)." Go!
S:(全員が大きな声で "I am ~." と自分の名前を言う)
T: Good! Then, please say "I am (your name)" to your partner. And please listen to your partner. Go!
S:(生徒はペアで自己紹介し合う)
(2) Introduction of "You are ~."
① Input
T: I am Koinuma. And you?
S3: I am Arai.
T: Oh, YOU ARE Arai!(×2) And you, Arai?
S4: No, I am Yoshida.
T: Oh, YOU ARE Yoshida!(×2) I see.(同様のやりとりを数名と繰り返す)
② Check of understanding and Mim-mem
T: I am Koinuma!(スピーチバブルを生徒に向けて指さして)And you say?
S: You are Koinuma!
T: Right! Please repeat, "YOU, ARE, You are Koinuma."
S: You, are, You are Koinuma. → Mim-mem
T: Then, everyone, please say "I am (your name)." to your partner. And listen to your partner and say, "Oh, you are (your partner's name)." Go!
S:(全員がペアで上記のやりとりをする)
※ここまでは生徒とのやりとりの中で目標とする表現を十分に聞かせた上で、状況に応じた発言をさせるようにします。途中で生徒の方からこちらが求める表現が出てくることが十分考えられるので、それを上手にとらえて展開してもいいでしょう。ただし、一度や二度全員で言えたからとしてそれで「よし」とするのではなく、必ず全員に一人ずつ言わせるようにしましょう。
(3) Introduction of "Are you ~? Yes, I am. No, I am not."
① Input
T:(教科書の登場人物のイラストを貼って)Look at this picture. This is a character from your textbook. Who is this?
S1: Akiko.
T: Oh, yeah? Let's ask her!(マイクを自分に向けて)Excuse me, ARE YOU Akiko?(×2)
Akiko:(マイクをイラストに向けて声色を変えて)YES, I AM.(×2)
T: Oh, you are Akiko.
Akiko: Yes, I am. I am Ono Akiko.
T:(別の教科書の登場人物のイラストを貼って)Look at this picture. This is a character from your textbook, too. Who is this?
S2: Kenta!
T: OK, then, let's ask him.(マイクを自分に向けて)Excuse me, ARE YOU Kenta?(×2)
Minh: NO, I AM NOT.
T: No?
Minh: NO, I AM NOT. I am Minh, Nguyen Van Minh.
② Check of understanding and Mim-mem
T: Now, everyone, you are Akiko, and answer my question. Are you Akiko?(マイクを明子のイラストに向けて)
S: Yes, I am. → Mim-mem
T: Then, are you Kenta?(マイクをミンのイラストに向けて)
S: No, I am not. → Mim-mem
T: Then, what is my question to Akiko?
S: Are you Akiko? → Mim-mem
T: Then, what is my question to Akiko?
S: Are you Kenta? → Mim-mem
※まず十分に質問文と答えの文を聞かせた上で、言いやすい答えの文を登場人物の立場になって言わせるようにすれば、一人称の答えを状況に合わせて言わせることができます。その後に何度も聞かせた質問文を引き出すようにします。なお、繰り返しになりますが、否定の答えの文を "No, I'm not."と縮約形にしていないのは、英語の構造(主語+be動詞+not)をしっかり意識してもらうためです。縮約形は後で導入すればよく、いきなりそれをやってしまうと生徒が英語の構造を理解しないままその表現を丸暗記するだけとなってしまいます。
◇Oral Practice with a Worksheet
次のようなハンドアウトを渡し、全体で練習したあとにペアで聞きあう形で個人で練習させるようにします。
【課題1】
登場人物の立場で "Hello, I am ~." と言う練習をさせます。
【課題2】
上記の発言に対して "Oh, you are ~." と言う練習をさせます。
【課題3】
担任団や英語科の先生になったつもりで "I am ~. I am a ~ teacher." と言う練習をさせます・
【課題4】
客観的な立場から先生たちに "Are you a ~ teacher?" と尋ね、先生たちの立場で "Yes, I am." または "No, I am not." と答える練習をさせます。
※上記のようなハンドアウトは、一度作成しておくと翌年以降に担任団や英語科の先生方が変わってもそのフォーマットを使って写真を入れ替えれば比較的簡単に新しいハンドアウトを作ることができます。
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