今回は前回(⑥)をさらに一歩進めたものです。質問文で "ー's" とされている部分が男性か女性かであることを判断し、答えに使う代名詞を判断します。Yes の答えは前回とのちがいがそれだけですが、No の答えはさらに誰のものであるかまで述べます。No の答えは全部で3文にもなるので、かなりハードなものになります。機械的に答えの文を暗記すればいいというわけではなく、きちんと内容を頭に入れないとすべてを正しく言えません。Yes/No 疑問文の答えとしては最も負荷の高い活動と言え、入門期指導の1つの頂点ともなる活動です。
では、具体的な指導過程をご紹介します。T: は教員の発言、S: は実際のまたは想定される生徒の発言、S1:, S2: は生徒個人の実際のまたは想定される発言を表します。なお、発言中の太字は強調して発音する部分です。また、「スピーチ・バブル」とは台詞の吹き出しマークを描いた絵カードのことです。平叙文を言わせるための空のスピーチ・バブルの裏側に疑問文を言わせるための「?」マーク入りのスピーチ・バブルを用意して、使い分けます。
◇Introduction of the New Expressions
(0) Review of the Previous Expressions(Recollection)
①(自分のペンを持って)
T: Is this my pen?
S: Yes, it is. It is your pen. →Mim-mem
②(もう一度自分のペンを持って)
T: Is this your pen?
S: No, it is not. It is not my pen. →Mim-mem
③(「?」マーク入りのスピーチ・バブルを自分に向けて)
T: My question is ...?
S: Is this your pen? →Mim-mem
※ここで大切なのはいきなり新しい表現に入るのではなく、前時の復習をしながら新しい表現を学ぶ土台作り(既習の文のどこをどう変えれば新しく習う文になるのかに気づきやすくする)をすることです。
(1) Input of the New Expressions ①
①(「山口」と書かれたペンを持って)※山口は男性教員
T: Now, listen carefully. Ya, ma, gu, chi. Is this Mr. Yamaguchi's pen? Yes, it is. It is HIS pen. (2文とも×2)
②(「中本」と書かれた消しゴムを持って)※中本は女性教員
T: Now, listen carefully. Na, ka, mo, to. Is this Ms. Nakamoto's eraser? Yes, it is. It is HER eraser. (2文とも×2)
※his, her は既習なので(②参照)この時点でいきなり答えさせることもできるでしょうが、全員に思い出させる意味であえて聞かせてみます。また、既習の文の形だけで答えられる Yes の答えのみ扱います。
(2) Check of Understanding and Mim-mem ①
①(「山口」と書かれたペンを持って)
T: Now, answer my question. Yamaguchi. Is this Mr. Yamaguchi's pen?
S: Yes, it is. It is his pen. →Mim-mem
②(「中本」と書かれた消しゴムを持って)
T: Nakamoto. Is this Ms. Nakamoto's eraser?
S: Yes, it is. It is her eraser. →Mim-mem
※スムーズに答えが出れば導入が成功したと判断します。his と her が男女の使い分けであることは既習なので、ここで説明する必要はありません。
③(自分の名前入りのノートを見せて)
T: Is this Mr. Yamaguchi's notebook?
S: No, it is not. It is not his notebook. →Mim-mem
④(自分の名前入りの教科書を見せて)
T: Is this Ms. Nakamoto's textbook?
S: No, it is not. It is not her textbook. →Mim-mem
※③④は(1)では聞かせていませんが、(0)をやっているので出てくるはずだと考えてやってみます。次の(3)へつながる練習でもあります。
(3) Input of the New Expressions ②
①(「小山」と書かれた定規を見せて)※小山は男性教員
T: Now, listen again. Is this Mr. Yamaguchi's ruler? No, it is not. It is not his ruler. It is Mr. Koyama's ruler.(3文とも×2)
S: えええ~! ←毎回必ず出てくる反応です。「3文も言うのは大変だ!」という意味です。
②(「小林」と書かれた鉛筆を見せて)※小林は女性教員
T: Listen. Is this Ms. Nakamoto's pencil? No, it is not. It is not her pencil. It is Ms. Kobayashi's pencil.(3文とも×2)
S:(苦笑が起こる)
(4) Check of Understanding and Mim-mem ②
①(「小山」と書かれた定規を持って)
T: Now, answer my question. Is this Mr. Yamaguchi's ruler?
S: No, it is not. It is not ... his ... ruler. It is ... Mr. Koyama's ... ruler.
※おそらく2文目からは周囲の発言を気にしながらなんとか搾り出すように言うでしょう。そのようなときは以下のようにもう一度言わせてみます。
T: Say it again!
S: No, it is not. It is not his ruler. It is Mr. Koyama's ruler. →Mim-mem
②(「小林」と書かれた鉛筆を見せて)※小林は女性教員
T: Listen. Is this Ms. Nakamoto's pencil?
S: No, it is not. It is not her pencil. It is Ms. Kobayashi's pencil. →Mim-mem
※①②ともにかなりの負荷のかかる練習なので、答えを個人で言えるかをしっかり確認します。
◇Oral Practice with a Worksheet
左のようなワークシートを使って本時に学習した表現を口頭練習します。なお、ワークシートに英文が書かれていないのは、本校の方針として文字を見せずに口頭導入及び練習をしているからです。
(1) 最初に各ステップの課題をまず全員で練習をします。本校ではこの時点でICレコーダーに教師や生徒の発言を録音し、家庭で復習するときの模範の音源としています。
(2) 次にペアで質問をする役と答える役になって練習をします。もちろん、役を交代してもう一度行います。
(3) 最終的には家ですべての表現を口頭で言えるように練習する課題を出します。
具体的な細かい指導過程は、① My(your)~? Yes(No), my(your)~. とほぼ同じなので、そちらをご覧ください。
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