比較級・最上級の指導

※一番下に実際の記事のPDF版があります。NEW

 

ここでは、2年生の Unit 8 の Starting Out(以下SO)を実際にどのように指導したかを紹介します。

 

新出事項は、形容詞の比較級と最上級です。この両方を1時間で扱うのは一見難しそうですが、両者に使う教材にうまく関連性をもたせれば、それほどストレスなく導入できます。

 

1.比較級の導入と練習

(1) 興味付けの教材を紹介する
比較は年齢を利用するのがもっとも手軽です。今回は平成5~8年度本の主人公を利用しました。それは、主人公の兄弟姉妹の年齢を利用できると考えたからです。

 

I'm going to show you some natsukashii pictures.といいながら、旧本の主人公 Mikeの絵を出すと、生徒は「なつかしい!」と大騒ぎ。もうこれで授業の成功は約束されました(?)。

 

(2) 既習事項で確認する
教師: How old is Mike?
生徒: Thirteen.(13と板書)
教師: Right! You have a good memory.

 

(3) 比較する教材を導入する
教師: Who is this?
生徒: Nancy.
教師: How old is she?
生徒: She is nine years old.(9と板書)

 

(4) 新出表現をインプットする
教師: Look at these numbers. 13 is big, 9 is small.(>板書) So Mike is old. Nancy is young. In this case, You say,"Mike is older than Nancy."or "Nancy is younger than Mike."

 

(5) 理解を確認する
「この文の意味は何ですか?」とか尋ねたり、「この文の意味は・・・」などと説明する必要はありません。疑問文で聞いてYes/Noで答えさせれば確認できます。

 

(6) 口頭練習をする
2つの文を徹底的に言わせます。語から句、句から文へ。そして、全体から個人へ。難しければキーワードを板書することはかまいませんが、全文を書くと読んでしまいます。

 

(7) 他の表現を練習する
教科書のYour Turn をピクチャー・カード(以下PC)を使って行います。最初は例文を示して表現の特徴をインプットします。あとはパターン化されたものですから、テープのリズムを使って順次やっていきます。

 

2.最上級の導入と練習

(1) 導入から練習まで
Mike の兄の Fred を使い、Fred is the oldest of the three. を導入し練習します。基本的な進め方は比較級の時と同じです。

 

(2) 他の表現と応用練習
Your Turn 1 のPCにそれぞれもう1つ大きさの異なる絵(自作)を加え、それを見ながら言わせます。ただし、Your Turn 2 では、私は問題を絵とキーワードだけのものに作り替えてやらせました。

 

3.本文の導入と音読

(1) 場面の確認と単語の導入
3枚のPCを順次見せ、What's this? で elevator, escalator, stairs を導入します。

 

(2) 対話の内容を口頭で導入する
次のように、実際の場面を想定して、生徒とのインターアクションを行います。
教師: When you go to a department store, which do you usually use?
生徒:(手を挙げて応じる)
教師: Is the elevator faster than the escalator?
生徒: Yes.
教師: But the escalator is faster when a lot of people are waiting in front of the elevator. I tell you the fastest way. Stairs. You run up the stairs, then you are the fastest. Do you think so, too?
生徒: Yes.

 

(3) テープを聴かせ音読させる
内容は②で導入しています。あとは、モデルを聞かせて読む練習をします。

 

4.文法のまとめ

(1) 発言内容を文字化させる
PCを示し、それまでに口頭練習したことを書かせます。ポイントをただ板書し移させるより効果的です。

 

(2) 文法のポイントに気づかせる
問答を繰り返しながら、あくまでも生徒にポイントを言わせるようにします。あせって説明しすぎないように注意します。

 

5.おわりに

 SOでは、新文型の口頭導入と口頭練習をいかにシステマチックに、かつ生徒の興味・関心を引くように構成するかが鍵となります。そこで、私は次のことに気を付けています。

 

(1) 既習事項から新出事項に入っていく
新出事項を導き出すための既習事項を選び、その練習をする中でいつの間にか新出事項を勉強しているという自然な流れを作ります。

 

(2) インターアクションで入っていく
教師が一方的に話していては生徒は聞いてくれません。生徒とのやりとりを通して新出事項をインプットしていきます。

 

(3) 生徒の興味・関心を引くものを使う
導入の際に用いる視覚教材や話題は、できるだけ生徒の興味・関心を引くものを選ぶようにします。

 

(4) 1時間に1度は全員に言わせる
口頭練習の際に大切なのは、全員でコーラスすることよりも、一人一人に個人的に言う機会を与えることです。

SOの指導をスムーズに行うためには、日頃から教師が英語を使って授業をすることに慣れておく必要があります。また、常に自分の生徒をみつめ、彼らの実態に応じて教材や指導法に改良を加えていく必要もあります。

 

コミュニケーション能力の育成が叫ばれる中、SOはその基盤となる活動を提供するページとしても大きな役割を果たしていると考えられます。ぜひ、有効にご活用ください。

 

ニュー・サポート』第5号(東京書籍)に掲載されているものを加筆・修正しました。

 

★参考★

more, the most を使った比較級・最上級の導入(オーラル・イントロダクション)の実践を、こちらのページで公開しています。ぜひご覧になってみてください。

 

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「Starting Out の扱い方-実践編-」
『ニューサポート5』Starting Out の扱い方.pdf
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