ここで言う指導案とは、指導主事の学校訪問や研究会の代表として行う公開授業等に作成するようなものではありません。ノート1〜2ページ程度の、その時間に指導する指導内容のあらすじくらいが書かれているものを指しています。
指導案を書くことの重要性は、「英語教育雑感」コーナーの「② いい授業のために「教案」を書こう:教案には何を書くか、書かないか-達人の教案拝見」(『英語教育』2011年4月号、大修館)や「英語科指導の重要ポイント」コーナーの「3. 教材研究と授業準備」に詳しく書いているので、ここでは要点を簡単に述べます。
要は、毎時間の授業を行き当たりばったりで行うのではなく、少なくともその時間に指導する内容を頭に入れてから教室に行くということです。指導案を書くという作業は、自分の頭の中で指導過程を論理的に組み立てる作業をすることです。この作業をすることで、自分で自分の授業を事前モニターすることもできます。
筆者も同業者ですから、「授業以外の諸々のことでそんな余裕がないよ」という声が出そうなことも重々承知していますが、事前に授業内容を頭の中だけでなく、指導案という形で書き留める習慣をつけるだけで、毎時間の授業の質が上がります。毎時間の授業の質が上がれば、生徒にとって授業は受けるに値するものになり、結果として生徒は教師を信頼するようになります。
長年の経験で、教師としての基本である授業をしっかり行うことこそがすべての教育活動をスムーズに行うことの土台だとわかっています。指導案を書いて、事前に授業全体をイメージすることをぜひ実践してください。
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