音読

「え? 音読がなぜ『授業は英語で…』に関係するの?」と思った人もいるでしょう。しかし、この後の話を読んでいただければ、それを理解していただけると思います。

 

(1) 音読を「話すこと」の活動と捉える

旧学習指導要領では、音読は「読むこと」の指導・評価項目に入っています(現行の学習指導要領では触れられていません)。しかし、もう1つのホームページ『目から鱗が落ちる英語学習』の「学習法に関して」のところにも記してあるのですが、勤務校では、20年以上前から音読を「話すこと」の指導・評価項目に入れています。それは、音読は「話すこと」の基礎を支える音声活動だと考えているからです。つまり、音読をしっかりやることが、話す力を向上させると考えているのです。音読をきちんと表現豊かにできる生徒は、話す力も高くなることが本校の例でわかっています。また、某予備校の有名講師が、テレビのCMで音読の重要性を説いているのもご存知でしょう。

 

それが、「授業は英語で」とどう関わるのでしょうか。まず指導者の立場から言うと、毎回の授業で音読のいろいろなパターンを行っているとすれば、簡単な英語の指示だけでその活動を生徒にやらせることができます。そうすれば、無駄な日本語を入れることなく、英語だけで授業を進めることができるようになります。次に学習者の立場から言うと、教師の英語を聞いて活動を理解し、無駄な時間を使わずに音読活動に入るので、より多くの活動時間を得ることができます。そして、表現豊かな音読を毎時間行うことで、いざ自分が話す場面に遭遇した時は、その表現力を生かした英語を話すことができるようになるのです。

 

(2) 教師の範読の重要性を認識する

音読というと、教科書CDの後についてリピートするというのが一般的でしょうか。しかし、ここでは教師の範読の重要性について考えていただきたいと思います。先生方の中には、「なぜネイティブのモデルがあるのに教師がやる必要があるのか?」と思う人がいるかもしれません。また、自分の英語の発音に自信がないからCDに頼りたいという先生もいるかもしれません。

 

しかし、教科書CDにはできない大切な役割を教師の範読はできるのです。例えば、スピードを変えたり、抑揚を変えたり、強調したりというフレキシブルさがあります。そして何よりも、教材の内容に命を吹き込むことができ、それを生徒に伝えられるのです。教師が生き生きと音読をすれば、生徒の音読も生き生きとしたものになります(その反対は反対の結果を招きます)。

 

判読する際の留意点は、発音やイントネーションだけではなく、読み手の気持ちを乗せることです。これは「正しい」/「正しくない」ではなく、気持ちを考えて読むものだという指導が大切です。ぜひ、音読の際にそうしたところまで注意して指導してください。すると、生徒の表現力が生き生きとしたものに大きく向上するでしょう。

 

なお、実際の授業でどのように音読の指導を行っているかの例は、以下でお読みいただけます。

 

・「英語で行う中学校1年生の授業:ケンちゃんといつでもティーム・ティーチング全台詞

 

(4) コミュニケーション活動①:新出文型練習 へ