ここで言う「大学院に通うこと」とは、4年生大学を卒業してすぐに修士課程に進むことではありません。大学を卒業後に何年か教員として勤めた後に再び大学院で勉強することを指しています。
教員には自身の資質・能力を高めるために「研修を行う」“権利”が認められていますが、一方でより良い教育活動を行うために「研修を行う」“義務”があるともされています。各自治体の教育委員会が教員向けの各種研修会を開催するのは、大抵は後者のためです。
現職の教員が大学院に通うことは、教員向けの研修会とは異なる研修の機会を得ることになります。多くの場合は、研修会よりもアカデミックな内容が多くなるからです。しかし、最も大きなちがいは、職場を離れて大学で学び直すことができるということでしょう。
教員が大学院に通うためには、大きく次の3つの方法があります。ただし、いずれも長研(数ヶ月から1年間の長期研修)で大学院の授業を聴講するという形とは異なり、あくまでも修士の学位を得ることが最終目標です。
① 教員を退職して大学院に通う
② 研修制度を利用して職務を免除されて大学院に通う
③ 職務はそのままで大学院に通う
上記のうち、①は職を失いますから経済的に大変です。一番良いのが②ですが、研修を受けられる人数に限りがあり(多くは都道府県で年に1~2名)、いつ自分にその順番が回ってくるかがわかりません(「職務優秀」と管理職から推薦されることも必要です)。③は②より条件的には楽ですが、仕事との両立が大変です。また、勤務時間内の授業は受講できないので、夜の部に授業を受けられる大学院が近隣にある必要があります。
したがって、現職の教員が大学院へ通うというのは簡単なことではないのですが、条件がそろいさえすればぜひとも実行した方がいいと筆者は考えています。それは、筆者自身が③の方法で今から20年余り前(1998年4月~2000年3月)に大学院に通って修士の学位を得たことがあるからです。
そこで、ここでは5回にわたって筆者が大学院に通うことになったきっかけや入試のこと、大学院で受けた授業や修士論文のことなどをお話しします。それらを参考に先生方も大学院に通ってみてはいかがでしょうか。
なお、各記事はすでに「つぶやき」のコーナーで「大学院に通うということ」として不定期にアップしたものです。ただ、それらはバラバラにアップされたもので、互いのリンクもないので、それらのページへのリンクを以下のような一覧にし、それぞれの記事から別の記事に飛べるようにしてみました。
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