◇ひとりぼっち
成田空港を発って13時間。ボーイング747は世界最大のシカゴ・オヘア国際空港に着きました。この日はもう夕方だったので、予約しておいたホテルへ泊まったのですが、送迎バスを2時間も待ったり、オートロックと知らずに部屋のドアを閉めてしまったりと何ともみじめなアメリカ第1日でした。
翌日、オマハ空港へ着いたときも荷物が見つからないというハプニングもありました(実はチェックインが早すぎて1つ前の便で送られてしまっていたのです)。また、出迎える人などいる由もなく、仮の宿として紹介されていた
YMCA(Young Man's Christian Association) へ一人寂しくタクシーで向いました。【写真はオマハのYMCA】
◇宿探し
ネブラスカ大学オマハ校には寮がないため、住む場所は自分で探さなければなりません。異国の地で誰も頼る人がいない私にとって、これは最初の試練でした。
とりあえず大学のオフィスに行き、宿探しの相談をしました。すると部屋を貸してくれる人がいるかもしれないので、とにかく申し込みをしてはどうかということでした。何やらワラをもつかむ思いで申し込み、小さな希望と大きな不安をかかえてYMCAに戻ったのです。
◇生活のスタート
下宿の申し込みをして3日目。大学から下宿先の候補の連絡がありました。さっそくそこへ電話をすると、マリリン(Marilyn)
という40歳くらいの女性が車で迎えに来てくれました。
Marilyn
は大学から少し離れたところに小さな家(といっても大きいが)をもつオバサン(失礼!)で、空いている部屋を貸してくれることになりました。ベッド、家具、食器などもすべて使っていいとのことで、さらに通学用の自転車も世話してくれました。
さあ、これで安心して大学に通うことができます。スーツケースの荷をほどき、家具の中にしまいこむと、やっと生活をするんだという実感がわいてきました。【写真は
Marilyn と State Fair で】
◇小切手をもつ
大学が始まるまで10日ほどあったので、その間は Marilyn
から生活上のオリエンテーションを受けました。
まずは銀行口座の開設です。日本からの奨学金の入金をはじめ、ほとんどの支払いは銀行を通して行われるのでとても大変です。
そして、ここで初めて personal check
なる個人小切手を持ち歩くようになりました。アメリカでは、当時から買い物は小切手かクレジット・カードを使い、現金はあまり持ち歩かないようにするのが主流でした。私も住所、氏名の入った小切手でどこかの社長さんよろしくサッサッと自分のサインをして買い物をするという生活のスタイルを身につけました。
◇カレーライスが食べたい!
Marilyn
の家にお世話になっているとはいえ、食事は自炊しなければなりません。母親の料理をまねして作ってみたのですが、これがなかなか「いける」味で、何とかなるものだと感心しました。
ところが、10日くらいたったところでカレーライスが食べたくてしょうがなくなりました。しかし、日本で売っているようなカレーのルーの素はどこのスーパーでも売っていません。半ばあきらめていたところ、日本食を輸入している店を見つけました。そして、S&Bゴールデンカレーのルーを10箱も買い込み、その日の夜涙を流して(?)食べたのです。【写真は後にルームメイトになった
マリオ(Mario) にカレーライスをご馳走しているところ】
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