0. イントロダクション
平成元(1989)年の学習指導要領の改訂で「観点別評価」が取り入れたことを受けて、評価に関する授業研究会が様々な形で行われるようになりました。しかし、評価の基本的な材料であるテスト、特に定期テストをどのように作成したらいいかという研修会はほとんど見かけません。もちろん、一部の学会等で「テスト研究部会」とか「評価研究部会」という名で研修会が行われてはいますが、あまり一般的ではありません。また、テスト作りの基本を教えてくれる書物もあまりありません(この後に紹介する本を除く)。
そのような中で、筆者は英語教育界でテスト作りほど“アンタッチャブル”なものはないと思っています。例えば、先生方は同僚の先生がどのような定期テストを出題しているかをご存知でしょうか?あるいは、先生方はテスト作りにはぜひおさえておきたい基本的なことがあるのをご存じでしょうか? 実は、この問いを過去に何度か自分が講師を務める研修会で参加者の先生方に投げかけたり実際に先生方の作成されたテストを見せていただいたりして、上記のような感想を持っています。
幸いにも、筆者の元勤務校(執筆時は「現勤務校」。以下、「本校」)ではおよそ四半世紀前から理論に則ったテスト作りを教科をあげて行っており、かつ全員がほぼ同じ形式で定期テストを作成し、さらにほぼ同じ形でそれを形成的評価に生かすシステムを構築してきているので、自分自身は自信を持って「しっかりとしたテストを作成しています」と言うことができます(もちろん、「完璧なテストだ」などとは思っていませんが…)。
そこで、上記太字の質問への答えの出発点として、以下のような「長文読解」問題を見て、それを評価してみてください。ちなみに、かなり昔のある県の高校の入試問題の一部です。
<問題文>
※長文の量がかなりあることと、本HPでは下線が引けないことなどから省略します。次の<設問>を読んでもらえれば、問題点がわかると思います。
<設問>
問1 文中の下線部(A)・(B)・(D)の日本文を、次の( )内の語に2語を加えて、英文にしなさい。※文中の下線部の日本語は以下のとおり。
(A) 私はバスケットボール部に所属しています。
(to / basketball / the / I)
(B) これは京都への私の2回目の旅でした。
(Kyoto / this / trip / my / to)
(D) 私はおばと彼女の家族に会えてとてもうれしかった。
(see / I / my / and / was / to / her / aunt / very)
問2 下線部(C)が「20年以上」という意味になるように、( )にあてはまる英語を2語で答えなさい。
( )( ) twenty years
問3 ( 1 )( 2 ) にあてはまる語を下の( )から1つずつ選び、その語を○で囲みなさい。
(1) (on at in to)
※ちなみに、文中では "I have to study (中略) at home ( 1 ) the evening."
(2) (with by over for)
※ちなみに、文中では "I returned home ( 2 ) train."
問4 次の文の中から本文の内容と合っているものを2つ選び、その記号を○で囲みなさい。
ア Akiko is a student of Jonan Junior High School.
イ Akiko doesn't enjoy her school life, because she is so busy.
ウ Akiko visited her aunt in Kyoto during the spring holidays.
エ One day Akiko's aunt took Yoko, Masao and Akiko to Kiyomizu Temple.
オ Jane was from Australia and spoke good Japanese.
カ Akiko saw many foreign people when she returned home.
さて、上記の問題を見てすぐにその問題点を指摘できる先生は次の「1. テスト作りの基本」を飛ばして「2. テスト結果を形成的評価に利用する事後指導」に進んでいただいて結構です。しかし、もし「え?これのどこが悪いの?」、「とりあえず問題を詳しく解いてみないとわからない」、「そもそも長文がないと判断できない」と思った先生は、ぜひとも「1. テスト作りの基本」をしっかりお読みになってください。おそらくこれまで先生が出題されてきたテストの問題点に気づき、適切な視点でテストを作成しようとお考えになるにちがいありません。
上記テスト問題の問題点を明らかにし、適切なテスト問題を作るための基本的なことがらを議論します。
テスト結果を単なる評定をつけるためのデータ材料とするだけでなく、生徒に次の学習目標を自分で設定させる形成的評価に利用する事後指導の方法を議論します。
上記の「1.」と「2.」で議論した内容に沿って、筆者の勤務校(以下「本校」)で25年以上前から実施している定期考査問題作成の実例と事後指導の実例を紹介します。
先生方がよく疑問に持つ、「知識・技能」と「思考・判断・表現」の問題の区別の仕方の基本を、実際の問題を例にして解説します。これを読んでいただければ迷わなくなると思います。
一人の先生がテストを作って実行する、複数の先生で1つのテストを作って実行する、など様々な場合を想定してテストを作り実行する際の留意点を解説します。
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