本活動は、Show & Tell に代わる活動として、平成18年度の第2学年より毎年行っている活動です。現在は、第1学年から第3学年まで、ALTとのTTの時間(各学年とも半年週1回)を利用して、各学年とも年に3~5回程度行っています。ここでは、その概要を簡単に説明します。
1.きっかけ
ALTが各学年とも半年間週1日来ているので、彼ら(2012〜2020年は2人)を有効に使う方法は何かと考えて始めたものです。ALTが常駐しているわけではないので(非常勤講師として雇っているため)、教科書を扱う時間をTTにすると、クラスによって進度がずれることが当たり前の授業に組み入れるのは難しいと考え、思い切ってALTが来る日は独立した指導計画の授業にしてしまおうと考えました。
一方、通常の教科書を使った授業でTTをすると、ALTはあくまでも補助的であり、どうしてもJTEが中心となって授業を進めることになります。しかもJTEは元々英語で授業をしています。そうすると、せっかくALTがいるのに、生徒は自分が学んだ英語をALTに対して使ってみたり、ALTと話す活動を行うことによって「聞くこと」「話すこと」の力を伸ばしたりする機会を十分に保証できません。
以上のような理由から、ALTが来る日の授業は、できるだけ各生徒がALTと直接話す機会を持つことが重要だと考えて、タイトルにもある「スピーチとQ&A」という時間を設定しました。
2.指導内容
もちろん、スピーチをさせるためにはそれなりの準備も必要なので、毎回そのような時間をとるわけではなく、「準備」→「本番」→「準備」→「本番」…という流れになるようにしています。
「準備」の時間に当たったときは、JTEとALTが活動内容の導入を行い、原稿を書き始めるところまで面倒をみます。それを1回で終えることもあれば、2回分を費やすこともあります。それでも、原稿を書くスピードは生徒によってかなり個人差があるので、終わらなかった生徒は仕上げを宿題とします。
「本番」の時間は、一人一人にスピーチをさせ、その直後にALTの質問に答える活動を行います。他の生徒はその様子を聞き、仲間の発表活動の評価を行います。一度に発表できる人数は限られているので、以前は1つの話題で発表に2時間をかけていましたが、ALTを2人雇っていた期間は、クラスを半分に割って、それぞれのALTに相手をしてもらっていました。
3.発表テーマ例
中心になって指導するJTEによって多少のちがいはありますが、ほぼ毎年以下のようなテーマでスピーチをさせています。
<1年生> 後期半年間
・自己紹介
・第三者紹介(三単現)
・冬休みの思い出(過去形)
・私の日課
・週末の予定(未来)
・チャット
<2年生> 後期半年間
・私の街(There is/are...)
・私の夢(不定詞の名詞的用法)
・アンケート調査結果
・冬休みの思い出
・チャット
<3年生> 前期半年間
・修学旅行の思い出
・夏休みの計画
・日本の文化
・挑戦したいこと
・自分の好きなことば
4.評価
評価については大きく2種類あります。
(1) 達成度評価
発表をさせて、その様子を観察法で5段階評価します。評価項目は、以下のとおりです。
① 内容(豊かで、まとまりのある内容か)
② 言語(英語らしい発音、リズムであるか)
③ 演出(よく伝わる工夫をしているか)
④ 応答(質問を理解し、適切に応答しているか)
評価点は学期末評定の「表現力」の評価材料とします。
※聞いている生徒も上記の観点で仲間の発表を評価します。つまり、評価観点をわかった上でスピーチを行っています。
(2) 形成的評価
① ALTはJTEとは別の評価用紙で、上記の項目を評価する他、コメントを一言添えた評価カードを生徒に渡します。それによって、生徒は自分のよいところや改善点を知り、次回の活動への意欲を持ちます。
② 仲間の評価は集計し、各回の優秀発表者と前回よりも伸びた生徒の発表を事後に行う他、英語科通信で全クラスの表彰者を発表します。特に、「前回よりも伸びた生徒」は誰でも選ばれることができ、毎回多くの生徒が選ばれています。
5.事後指導
勤務校では、以前から生徒に何か発表をさせた際には必ず「振り返り」のレポートを書かせています。スピーチとQ&A活動では、①実際にスピーチした内容とQ&Aの内容を書き起こさせ(そのために録音させています)、②その内容に関してより良い表現を考えて記入させ、③反省と次回の活動への抱負を書かせています。新学習指導要領では、「深い学び」をさせるための振り返り学習を勧めていますが、本校では以前からそれを行っています。
6.備考
(1) 原稿チェックについて
内容や英語も評価項目に入るため、全員を公平に指導できる授業中以外の個別指導は行っていません。また、事後の原稿チェックや校正も行っていません。後者を行うには膨大な労力が必要だからです。それよりも、「5. 事後指導」にあるように、自分で振り返らせて、自ら学ぶ姿勢を作らせた方が効果的です。この件に関しては、「英語科教育の重要ポイント」のコーナーの「14. ライティングの指導」も参照してください。
(2) 発表の録音について
勤務校では、2000年頃から生徒に発表させるときはその発表を録音し、生徒自身がその録音を自分で振り返る作業を行えるようにしています。実は、発表をするというのは生徒にとって大変なプレッシャーなので、自分で言ったことすら覚えていないということがわかったからです。また、録音を聞くことで、生徒自身が自分の話した英語を自分で分析することができます。
以前は録音をカセットテープで行っていました。個人にカセットテープを用意させ、学校で用意したテープレコーダーで録音したものを家に持ち帰るという方法です。2010年頃からこれをICレコーダーに切り替えました。生徒には入学時に副教材としてSDカードを購入させ、それを学校で用意したICレコーダーに差し込んで録音させています。家庭ではパソコン等でそれを聞けるように保護者に協力をあおいでいます。今ではタブレットでより簡単にできるはずです。
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