訪問者のみなさんにも「親友」がいると思いますが、筆者にもそう呼べる人が一人います。その親友は、大学時代に知り合ったA氏(学生時代は「A」または「A君」)です。A氏は「56. 大学時代の同窓生」で紹介した大学時代の友人の一人です。ということは、やはり教員となり現在もそれを続けている人物です。
A氏は、「大学へ入るための受験勉強はほとんどしなかった」という天才肌の人です。もっとも、県立高校としては日本一多くの生徒を東大に送り込むことで有名なU高校で百人一首のチャンピオンであったというのですから、それもうなずけます。ただ、筆者が彼を親友と考えるのは、その才能の高さよりも誠実な人柄によるところが大きいです。自分にはやや欠けていた誠実さを自らの態度で示し続けていた彼に筆者は大きな影響を受けました。一方、彼が筆者のどんな点をもって友人関係を続けてくれているのかは定かではありません。
大学卒業後は、住所も勤務先も同じ県内にあったのにも関わらず両者の間に距離がややあったこともあって、そう頻繁に会うことがなくなりました。筆者が中学、彼が高校と少し立場がちがっていたことや、筆者が毎日朝から晩まで仕事漬けになっていたことも原因であったと思います。大学時代はほぼ毎日一緒にいた彼と疎遠になってしまったことが、ふと仕事から解放された瞬間に喪失感として自分を襲ったことを覚えています。
しかし、それでも筆者の結婚式の司会をA氏に務めてもらったり、A氏の結婚式の仲人を筆者が務めたりという関係はありました(彼の奥さんを筆者が教育実習で指導したので二人を知っていたため)。また、筆者の長女の名前がA氏の苗字の音と同じ(彼の苗字の音は女子の名前としてよく使われる)、息子の名前がA氏の奥さんの名前の音と2文字同じというところにも筆者が彼との友人関係を意識していたことが表れています。もちろん、子供の名前を付けるときに彼や彼の奥さんの名前から出発したわけではありませんが、結果的に名前が決まったときにそれらの名前の音の響きに対して夫婦そろって好印象を持ったのは、彼のおかげだと思います。
実は、先日おそらく20年振りくらいでA氏と2人で夕食をとりました。彼が筆者の自宅近くの学校にこの4月から勤め始めて会いやすくなったからです。お互いの結婚後にしばらく家族付き合いをしていたり、冒頭の同窓会では毎年会って話をしたりしていましたが、2人きりで話をするのは久しぶりなので、積もる話に花が咲いて3時間があっという間に過ぎてしまいました。彼は40年前に初めて会ったときとまったく変わらない誠実な人であることが確認できて、ホッとして家路につきました。
筆者にとって、仕事を抜きにして「親友」と呼べる人は今のところ彼しかいません。「20年も会っていない人を“親友”と呼べるのか?」という突っ込みもありそうですが、会っていなくてもお互いのことをよくわかって信頼し合うことができていれば、親友と呼べると筆者は思っています。A氏とは一生の付き合いとなりそうですので、今後も大切にしていきたいと思います。(10/17/2020)
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