日本では不可能な面白いテレビCM

日本で言うテレビの「CM」は、英語では "TV ad"(advertisement)と言った方がいいのですが、その話はここでは置いておきましょう。今回の話は、かなり以前の「27. 35年振りのワッパー」を書いている最中に思いついたものです。それは、36年前にアメリカの大学に留学していたときに見た、あるテレビ・コマーシャルのことです。

 

1984年当時、前出のバーガーキング対マクドナルドのコマーシャル合戦は、第3位のウェンディーズが上位2社に対して "Where is the beef?"(どこにビーフが入っているの?)という皮肉コマーシャルをぶつけて三つ巴の戦いになっていましたが、やはりそういった種類のCMの元祖はペプシコーラ対コカコーラの戦いで、こちらはペプシコーラがコカコーラをコケ落とすという構図でした。

 

40年くらい前に、一度日本でもペプシが同様のコマーシャルを打ったことがあったのを、筆者と同年代(50代)以上の人でしたら覚えているでしょう。ペプシと他社のコーラの瓶が並べられ、他社製品は名前を伏せられている中で一般人が両方を飲んで、「ペプシの方が美味しい!」と叫ぶというCMでした。伏せられている方がコカコーラであることは、誰の目にも明らかでした。それまでは(今も)、CMで他社製品をけなすことは御法度であった日本の広告界でしたので、おそらく放送当時は相当の批判があったものと思われます。ほどなくしてそのCMは姿を消しました。その後もペプシは何度か他社との比較CMを流しましたが、その時よりは少し抑えた表現のものとなっていました。

 

話を本家アメリカのコーラ戦争に戻します。そんな過激なCMが多いペプシですが、1984年に放送された同社のCMのある1本に度肝を抜かれました。長いバージョンは1分ものでしたが、まるでSF映画のようなCMだったのです。当時は、前年に「スター・ウォーズ」の第3作「ジェダイの復讐」(The Return of the Jedi、後に「ジェダイの帰還」に改題)が公開され、空前のSFブームの真っ直中でしたので、SFチックなものを作りたかったのでしょう。ただ、本作品は前々年に公開された「E.T.」(E.T.)と5年前に公開された「未知との遭遇」(Close Encounter of the Third Kind)を彷彿とさせる、つまり両作品を製作・監督したスティーブン・スピルバーグへのオマージュと思われる作品でした。

 

初めて見た時は、いったい何のコマーシャルが始まったのか、新しいSF映画の予告編か、と思ったものです。しかし、最後まで見れば、誰の目にもそれは「ペプシコーラの方がコカコーラより美味しい」ということを言いたいのだとわかる、大変面白い作品でした。そのストーリー内容を文字で説明しようと思っていましたが、YouTubeに当該CMの映像がアップされているのを発見しましたので、「百聞は一見にしかず」でそれをご覧になってみてください。動画のURLはページの一番下に貼り付けてあります。

 

えっ?「見たけど、何が言いたいかわからなかった」ですか? もう一度じっくり見てください!(8/22/2020)

 

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