授業の「名人」とは?

新型コロナウィルスのせいで、全国の小中高校が臨時休校に追い込まれてしまってから、1ヶ月近くが経ちました。筆者の学校では、引き続き新年度が始まる4月8日の前日までは生徒の登校は禁止です。政府の方針では、一転して臨時休校をやめるということになりましたが、3日前に都知事から、そして2日前に神奈川と埼玉の知事から不要・不急の外出の自粛、千葉と山梨からは都内との往来の自粛の要請が出た中で、多くの生徒が都内、埼玉、千葉、神奈川から電車やバスで通う学校としては、はたして新学期が開始できるのかという心配が尽きません。

 

自分のことに目を向ければ、予定外にしばらく授業から遠ざかってしまったことで、新学期に授業がきちんとできるかも心配です。さらに、筆者のような定年間近の普通の教師にとっては、新学習指導要領の移行期に小学校で教科としての英語を学んできた新入生に、彼らの持っている力を最大限に伸ばしてやれる学習指導ができるかという不安もあります。

 

余談が長くなりましたが、タイトルをご覧になって、強い関心を持たれてこのページを開いた方もいらっしゃるでしょう。日本全国を見渡すと、英語の授業の「名人」と呼ばれる先生方が各地にいらっしゃると思います。筆者は、今から20年余り前に、そうした「名人」の先生方はなぜそのような授業ができるのか、「名人」の先生方の授業には何か共通点があるのではないか、ということに大きな関心を持ちました。そして、1998年4月に現職を続けながら、夜間に授業がシフトした東京学芸大学の大学院に通い始め、その修士論文として「名人」の先生方の共通点を明らかにすることに挑戦しました。

 

研究対象にした先生は、当時授業の「名人」として全国にその名をとどろかせていた3人の中学校の先生でした。本当はもっと多くの先生を対象にしたかったのですが、さすがに論文を書き上げるまでの2年間とも現職の仕事をそのまま続けながら、度々全国行脚をするわけにはいかなかったので、中でも最もホットな3人の先生に密着取材し、授業を分析させていただくとともに、その授業の背景にある指導理念をうかがってきました。

 

その結果わかったことは…? 

 

それはまさに自分自身が一番知りたかったことでした。ただ、それをここですべてお話しするには紙幅が足りませんので、新たに「研究論文」というページを立ち上げ、その第1弾の記事として、件の修士論文の実物(配付用印刷板)とその研究に関心を持たれた先生に任されて書いた英語教育雑誌の関連記事をアップしました。修士論文というわりには貧相な内容でありますが、その中に書かれていることは、きっと先生方の授業を大きく向上させるものだと信じています。なにせ、書いた本人がそこで明らかになったことを実践することで、自分の授業を、さらに言えば教育活動全般を、大きく変えることができたからです。(3/28/2020)

 

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