以前、本コーナーの「81. 家系図」では父方の、「85. 家系図 パート2」では母方の家系図およびその製作に至るまでのエピソードを紹介しました。その中で、後者の最後にまだ若干心残りになっているところがあるということを書きましたが、最近になって急にそれを解決させようと思いたち、約1ヶ月前の3月末に実行に移しました。
パート2で残っていたのは、母の母(つまり祖母)の親戚の調査でした。以前に京都市の区役所で取った戸籍謄本(除籍)によると、それを調べるにはさらに遠い姫路市まで行く必要がありました。謄本を取るだけなら郵送でできなくもないのですが、もしかしたらいるかもしれない親戚に会うには実際に現地に行くしかありません。過去の調査ではいずれも親戚に会うという目標は達成できませんでしたので、今回も大きな期待はせず、しかし会えるかもしれないというほんの少しの希望と、再び挑戦するという大きな自己満足(?)の気持ちを持って出かけました。
新幹線で姫路に着くと、早速市役所へ行ってみました。念のために自分が対象とする人(曽祖父)の直系親族(曾孫)であることがわかる家系図とこれまでに取った戸籍謄本も持っていったのですが、今回初めて戸籍の取得条件で1つの点が引っかかりました。それは母と筆者の親子関係の証明がないというのです。ただ、本籍でそれを確認できるということで、これもなんとかクリアーできました。
結果的に手に入れられたのは、曽祖父とその妻、子供全員、長男の子供全員、そして曽祖父の父の情報でした。さすがに曽祖父でも文久生まれなので、それ以前の代の戸籍は取れませんでした。ただ、曽祖父の名前があるすべての戸籍(3点)を探してくれたので、欲しかった情報以上の情報を手に入れることができました。
早速、戸籍を元に市内数ヶ所の関係場所(戸籍に記されている住所)を資料室の住宅地図で探しました。問題は、それらの場所に行っても親戚が住んでいる保証はないということです。なにせ、70〜80年も前のことを調べているのですから。過去の経験(実際にその場所を訪れても知り合いには会えなかった)から期待はせずに、当該の場所へ向かうために山陽電鉄の電車に乗り、最寄り駅である「的形」駅(姫路市的形町)で降りて、徒歩で最初の目的地に行きました。
では、その結果はというと…。なんと!初めて親戚に会うことができました!会えたのは、母の従兄弟(いとこ)にあたる2人で、母の母の長兄(曽祖父の長男)の娘さん(次女)と息子さん(五男)でした。お二人とも80代で、姉弟だけで実家に住んでいたのです。ただし、そこは自分がこれまで知っていた場所ではなく、新しく手に入れた戸籍に書いてあった場所でした。
実は、当該の家を訪ねたときは、いきなりそこに行ったのではなく、道の反対側の古そうな家に行ってさぐりを入れてみたのです。そうしたところ、「その名前の人なら、目の前の家に住んでるよ」と言われ、びっくりしました。そして、恐る恐るその家のインターホンを押し、スピーカーに出た人に来訪の事情を説明しました。
最初は先方もこちらのことを怪しんでいたようですが、話がかなり具体的な内容になってようやく信用してくれたのか、件の姉弟が玄関に出てきてくれました。そして、持ってきた資料や写真などを使って来訪理由を説明すると、両者の間に先方も忘れかけていたようなたくさんの共通の情報があって、ようやく筆者を“身内”として受け入れてもらいました。
そうして30分強くらい玄関で立ち話をしたでしょうか。最後に3人でスマホの自撮り写真を撮り、その家を後にしました。次に行ったのは、以前から知っていた住所でした。そこは上記の2人によれば現在は地域の集会所になっているということでした。現場に行ってみると、隣に住む老齢の夫婦が外で話をしていたので声をかけてみました。そうしたところ、その場所には確かにかつて当該の人が住んでいたのを覚えているということでした。そして、最後に母が小学生の頃に遊んだことがあるという神社にも行ってみました。そこは小高い丘の上にあり、周囲の木々が無ければ町全体を見下ろせる絶好の場所のようでした。
過去の調査では一度も味わえなかった満足感を味わえ、興奮と脱力の両方を感じながら、来たときと同じローカル線に乗って姫路市内のホテルへと向かいました。もちろん、すぐに電話で母に親戚に会えたことを告げました。1つだけ残念だったのは、親戚に会えたときにその場で電話で母に話をさせてあげることに気づかなかったことでした。
ホテルに一泊した翌日は桜が満開の姫路城の観光をしましたが、帰路の新幹線の中では早速新しい家系図を作り始めました。そしてできあがったものを、当日渡せなかった手土産とともに出会った二人にも郵送しました。そうしたところ、お姉さんの方から丁寧なお礼の電話をもらいました。自分でも知らなかったことがいっぱいあったようで、「よく調べてくださったわね」と喜んでくれていました。
これで現時点でできる家系図作りは父方、母方ともに一段落しました。戸籍からたどれる親戚はこれ以上増えることは無さそうですが、家系図内の存命の方に話をうかがったりすればさらに多くの情報を追加することができる可能性はあるので、それが実現できたときは「パート4」として紹介しようと思います。
最後に、以前の記事との重複になりますが、自分の先祖の戸籍が欲しい場合は、①対象の人の住所がわかること、②自分がその人の「直系子孫であること」が何らかの資料(家系図、対象の人と自分をつなぐ他の戸籍等)を示す必要があります。それが示せれば一部750円(自治体によって異なる)で取得できますので、関心のある方はやってみてはいかがでしょうか。そして、下に上げてあるような家系図ができると面白いと思いますよ。(4/28/2023)
姫路駅を出発する「のぞみ」
山陽電鉄「的形」駅
今回初めてお目にかかった
母方の親戚のお二人と
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