令和4年3月に定年退職するまでの筆者の公務は、自分の学校の生徒の教育及び教育実習生の指導でしたが、国立大学の附属学校の教員であるという立場から、現職の先生方への研修材料を提供するという使命も負っていました。その第一の方法は平素の教育活動を公開することで、毎年行われる研究協議会で公開授業を行ったり研究内容を発表したりするほか、日頃から随時学校訪問を希望する先生を受け入れ、授業を見ていただいたり話し合いをしたりということも行っていました。
一方、筆者や前任校の英語科が長年行ってきた実践や研究の内容を広く全国の先生方に知っていただくために、各地で行われる研修会等に講師として出かけて発表することもあり、退職後も含めるとこれまでに145回の講演を行ってきました(2023年12月現在)。そこで、ここでは過去に行ったすべての講演のテーマとその中で特に好評であったいくつかのテーマの概要をご紹介します。
◎「中嶋塾」特別例会(12/17 北区立飛鳥中学校)で講演を行いました。 NEW
筆者が四半世紀前から「名人中の名人」教師として尊敬する中嶋洋一先生が主宰する「中嶋塾」で講演をさせていただきました。テーマは「教師が変われば生徒が変わる、劇的ビフォー/アフター ~主体的・対話的で深い学びと思考力・判断力・表現力の育成 そして、これまでも、これからも変わらない大切なこと~」でした。会場及びオンラインでご参会いただいた同塾の会員のみなさま、ありがとうございました。
NEW→講演後に参加された先生方の中の数名の方が協力して作成なさった講演内容概要レポートを下にPDFで上げておきます。なお、WEB公開するにあたって、執筆者のお名前及び勤務校は匿名に、一部画像は肖像権の関係でカットいたしました。
1. 過去の講演テーマ一覧 NEW
PDFファイルで、過去に行った145回(2023年12月末現在)の講演すべての実施日、テーマ、主催者、場所等をご覧いただけます。
2. 好評であったテーマの概要
1.でご紹介したテーマの中で、参加者の先生方から好評であった内容の概要をご紹介します。
(1) 教師が変われば生徒が変わる、授業が変わる-劇的空間のビフォー・アフター-
生徒がなかなか授業に乗ってこない、新しい活動を考えたのに生徒は思ったように活動してくれない、それ以前に生徒は授業中いつもつまらなそうな顔をしている…ということに悩んでいる先生は意外と多いでしょう。筆者もかつてはそのような教員の一人でした。
しかし、ある改善をすることでそのような状況を一変することができました。その「ビフォー・アフター」を、筆者が長年実施していたある活動をもとに紹介します。それは凡人(自分)と名人(他人)の比較ではありません。「同じ教師が、同じ学校の生徒に、同じ活動を行っているのに、生徒の姿がそこまで変わるのか!」という様子を映像で紹介し、その変化を引き起こした要因を議論していきます。もちろんそれは筆者個人のことではなく、どなたにもできうることです。
(2) 生徒を伸ばす指導のあり方と妥当性・信頼性・実際性のある評価の方法
筆者が各地の講演等で今までにお目にかかった数百人の先生方に「自分が立てた評価計画どおりに評価をしている人はどれだけいますか?」と尋ねたところ、「はい」と答えた人はこれまで一人もいません。つまり、最初から評価するつもりのない評価計画を立てているのです。そこで、本当にやる意味(妥当性)があり、データとして価値(信頼性)があり、実際に行うこと(実際性)ができる評価だけを、英語科全員でコンセンサスを得て行う計画を立てることを提唱します。
また、「指導と評価の一体化」と言われて久しくなりますが、その本当の意味を筆者の生徒の発表の様子を先生方に評価していただき、評価が指導を行う上でどのような役割を果たすのかを議論します。
(3) 思考力・判断力・表現力を高める授業の工夫
この話の出発点は、「英語の授業は教科書をすみずみまで教えなければならない」ということからの脱却です。これを続けるかぎり、生徒の思考力・判断力・表現力は高められません。なぜかというと、その発想では、授業は生徒に「教え込む」ことが最優先されるからです。教師が明示的に答えを言ってしまうと、生徒は考えることも判断することもしなくなります。
生徒の思考力を高めるには、まず指導過程が帰納的であることが必要です。そこで、常に「帰納的」を意識して授業を組み立て育具体的な方法を取り上げます。そこでは、まず生徒に「なんだろう?」と考えさせ、次に「その答えはこうかもしれない」と判断させ、そして「自分の答えを言ってみよう」と自分の考えを表出させる場面を設けるようにします。その具体的な方法を議論します。
(4) 「授業は英語で行うこと」の真の意味と実施上の留意点
中学校の新学習指導要領では、指導方法として「授業は英語で行うことを基本とする」としています。実は、高校ではすでに前回の学習指導要領改定でそうなっていました。ところが、「授業は英語で…」については現場の教師の中に大きな誤解があります。それは現在日本語で行っていることをそのまま英語に置き換えて話すことだと思っている先生が多いことです。しかし、それはまったくちがいます。
筆者は、教育実習のときに初めて英語で授業を行うことを習い、それを教員になって37年間ずっと続けてきています。新任時にいわゆる「教育困難校」と呼ばれる公立高校に勤めていたときですら英語で授業を行っていました。その理念と目的、そして実際の方法を詳しくご紹介し、先生方が明日からでも英語で授業を行うためのノウハウを提供します。
(5) 主体的・対話的で深い学びのある言語活動の充実
新学習指導要領で謳われている「主体的」「対話的」「深い学び」とは、そもそもどういうことなのでしょうか。実際の授業とそれぞれがどのように関連づけられるべきなのでしょうか。また、そのような言語活動とはどのようなものなのでしょうか。そして、そのような言語活動を実施するにはどうしたらいいのでしょうか。
以上のことを筆者の知識と長年の経験から議論します。また、筆者の実際の授業場面を見ていただき、それらがどのように実際の指導の中で実現されているのかを見ていただきます。そして、先生方の授業が主体的・対話的で深い学びの場となるための大切な点を議論していきます。
(6) 昔も今もこれからも変わらない大切なこと
新学習指導要領はこれまでにないくらい大きく改訂されています。一読しただけではなかなかよく理解できない(?)「見方・考え方」をはじめ、現場の教師に意識の変革を求めるような内容になっています。しかし、その中味をよくよく読めば、それらは何も新しいことはなく、これまでも大切であるとされてきたことが異なった視点から述べられているのだと気づきます。
一方、上記の(3)(4)(5)で述べたことを実現するために最も留意すべき点は、実は以前から大事だと言われてきたこととまったく同じなのです。したがって、逆に言えば、それがなければ求められているような授業は実現できないというものです。それはいったい何なのか。これこそ筆者が37年間教師をやってきてたどり着いた究極の到達点です。それを筆者の実際の授業等の映像とともに議論します。
3. 講演の依頼について
現在、都合により講演依頼の申し込みを中止させていただいております。(5/14/2024)
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