5. 私には夢がある②(研究協議会に向けて)

【きっかけ・ねらい】

この話は、「私には夢がある」シリーズ第2弾として話したものです。

 

研究協議会での公開授業は今年で6年連続、累計では本校に赴任してからの15年間で10回目になります。当初こそ参観者は40~50名くらいでしたが、近年は200名前後の参観者があり、毎年かなりのプレッシャーを感じながら授業をしています。

 

英語科の場合、教師と生徒、そして生徒同士がどのくらい活発な会話を授業中に交わしているかというのが授業を見る視点として大切なものとなっているので、生徒の意欲を事前にどこまで高めておけるかというのも授業の正否を決める大きな鍵です。そこで、授業の内容とは直接は関係のない話ではありますが、研究協議会へ望む生徒の心構えを話そうとこの話を考えました。

 

なお、シリーズ第3弾は合唱発表会について話すつもりでしたが、タイミングを逸してしまっているうちに、他の視点からそれについての話をしたので、結局話さずじまいで終わりました。

 

【手順・工夫】

この話では次のような手順と工夫を考えました。 

① 「私には夢がある」の第2弾は、研究協議会に関するものであり、それは先生と生徒で作るものであることを話す。

② 研究協議会に来る先生方は何を求めて来るのかを話す。

③ 公開授業では、いつもの授業どおりに思ったことや感じたことをどんどん発言してほしいということを伝える。

 

【実際の会話】11/12

T:明後日は研究協議会ですが、「私には夢がある」の第2弾はそれに関するものです。その夢とは何だと思いますか?

S:(・・・)

A男:先生がいい授業を見せることですか?

T:ほう、確かにそうですね。では、「よい授業」って何でしょうか、な~んてみんなに聞いても仕方がないので、先生が研究協議会で実現したい夢について話します。それはね、公開授業を見に来る先生方に夢を与えたいんですよ。

S:(「へっ?」という顔をしている)

T:ちょっと大きく出ちゃったかなあ。夢を与えるなんて言うと、ちょっと偉そうだね。

 じゃあ、こんな風に言うかな。「先生方に元気になって帰ってもらう」って。

S:(無反応)

T:附属小の人は知ってると思うけど、公開授業って全国からいっぱい先生方が来るでしょ?確か、2月は3,000人くらい来るんだよね?うちの英語科の授業にはどのくらい来ると思う?

B子:100人!

C男:500人!

T:500人というのはちょっと多いけど、毎年200人くらいかな。一番多かったのが一昨年で、220人だった。明後日は育鳳館で授業をするんだけど、こうやってコの字型に先生方に囲まれて授業をするんだ。

D子:じゃあ、舞台の上じゃないんですか?

T:そう、フロアーでやります。200人に囲まれるっていうのはけっこうすごいぞ。後ろの人とか、左右の人とかは、すぐ近くに先生がいて、覗き込まれたりするのから気を付けてね。

E男:オレ、やだなあ、見られるの。

T:まあ、仕方ないってあきらめてちょうだい。それでね、そうやって来る先生方は、公開授業を何のために見に来るのかっていう話。それはね、先生を見に来るんじゃなくて、生徒が真剣で、楽しそうに授業を受けている姿を見に来るんだ。

S:(興味なさそうな顔)

T:それはどうしてかっていうと、多くの先生が、生徒があまり意欲的ではないとか、まじめに授業を受けないとか、暗い顔をしているとかいう悩みを持っているんだね。

 そういう先生方が、この学校の授業を見ると…、生徒を見ると、元気がもらえるって言って毎年来てくれる。だから、そうした先生方に、元気なみんなと、その元気なみんなに元気にしてもらっている先生の姿を見せて、夢をもってもらいたい。それが私の夢であり、本校の使命でもあると思っているんだ。

S:(下を向いている)

T:じゃあ、どうしたらいいだろうね?

S:(少し顔が上がる)

T:特別なことをする必要はありません。何も新しいことをする必要もありません。授業の内容もほぼいつもどおりの内容でやるつもりですから。ただ、せっかく見に来てもらうわけだから、みんなが持っているいいいところを最大限に出してもらいたい。みんなの、5組の、いいところってなんですか?

F子:明るい!

G子:元気がある!

H男:よく反応する!

I男:うるさい!

T:そりゃ、ダメな方だろう。「明るい」と「元気がある」と「よく反応する」は5組のいいところだよね。先生もさ、ちょっとだけ薄化粧するから、だから、みんなも、それをいつもよりちょっと頑張って、少し多めに出してもらえないだろうか。

J男:わかりました!

T:よしっ。それはよかった。ただね、本番はいつもの教室とちがうところでやるし、周りを先生方に囲まれて授業をするから、いつもと勝手がちがうと思うんだよね。だから、明日の授業は育鳳館でやります。本番と同じ間隔をつかんでもらいたいから。

K子:先生、机とイスも持って行くんですか?

T:いや、3年1組の机とイスを今日中に持って行ってもらうから、みんなはそれを使うことになる。ただ、3年生の机って少し大きいから、勝手がちがうかも。

K子:そうなんですか?

T:そうなんだよ。1年生と2年生のは同じ高さなんだけど、3年生だけ1号っていう少し高い机なんだ。

S:へえ~。

T:で、1時間目に育鳳館で授業をやるから、朝の会も育鳳館でやってください。

K子:先生、荷物はどうするんですか?

T:持ってくるのは英語のものだけでいいよ。教科書とバインダー。まさか、Excuse me, Mr. Koinuma? I forgot my textbook. とか、My textbook is in the locker.とか言うなよ。 

J:オレ、忘れそう!

T:でね、準備は3年1組がやってくれるでしょ?それを午前中は2年生の蒔田先生のクラスで使うわけ。そして午後にみんながそれを使う。ということは?

S:ええっ!片付けるんですか?

T:そうだよ。当たり前でしょ。準備はしてもらったんだから。しかも、みんなが片付ける時間は、他の教科の会議が始まっているかもしれないから、そおっと持って帰らなければならない。

S:ええ~!

T:つべこべ言わないの。しかも、教卓とその横の机もあるから、自分の机とイスだけじゃなくて、誰かにそれを持っていってもらわなければならない。当日ボランティアを募ると思うので、協力してください。では、今日はこれでおしまい。

 

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