保健室より

学校の保健室は、その学校の生徒にとってはとても大切な場所です。けがや病気のときにお世話になるだけでなく、悩み事の相談などに乗ってもらう場所にもなっていますね。本校の保健室もまったく同じです。学級担任をしているときは、ほぼ毎日のように顔を出して自分のクラスの生徒についての相談や指導の打合せをしていました。また、保健室前の廊下の掲示版にはよくいろいろな生徒を励ますようなことばや気分がほっこりするイラストなどがあり、保健室の前を通るだけで気持ちが落ち着きます。

 

ここ数年は学級担任を持っていない関係で保健室を訪れる回数がめっきり減りましたが、毎日数回保健室の前を通るので、廊下の掲示版に何か貼ってあったりするとよく読んでいます。また、コロナ禍で朝の健康観察が必要になってからは、職員室のない本校では保健室前の廊下が毎朝の打合せ場所となっており、全教員が保健委員会の先生を囲んで話をするようになったので、保健室前の掲示版の変化が以前よりも気づきやすくなりました。

 

そのような中で、先日また保健室で新たな試みが始まっていることに気づきました。保健室の後ろのドアの外に下の写真のような掲示物があり、筆者の気を引きました。検温器や消毒用紙など毎日使っているグッズの上の緑色の掲示版に面白いものが見えています。

「変えたいたい焼き屋さん」って何だろう…?

 

 

どうやら、自分の短所と思われることを長所に置き換えて考えるようにするものらしい…。

では、さっそくやってみよう。

 

 

上の透明ケースの中にいろいろなことばが書かれた“たい焼き”が入っているぞ。その中から一番手前にあった「心配性」というのを取り出してみる。なんだか、自分のことみたい…。

それを下にある箱の上にある口のところに魚の口の方を先にして入れてみよう。

すると、「コトン!」と音がして、たい焼きが箱の下の口から出てきたぞ。

出てきたたい焼きを見ると、「慎重」って書いてある。

 

 

そうか、「心配性」という短所だと思われる自分の性格は、見方を変えると「慎重」だという長所とも考えられるんだ。

これは面白い。他にどんな「短所」と思われることがあるのだろう…? 左上から順に、

①心配性 ②口が悪い ③いいかげんな

④お調子者 ⑤ぼんやりしている ⑥頑固

⑦目立ちかがる ⑧空気が読めない

⑨飽きっぽい

 

 

か…。

それが裏を返すと、どんな「長所」になるんだろう? 同じく左上から順に、

①慎重 ②率直 ③こだわらない ④明るい、元気がいい ⑤細かいことにこだわらない ⑥意志が強い ⑦自分を表現できる ⑧動じない ⑨色々なことに興味がある

 

 

なるほどね。 

まだまだあるぞ…。

 

⑩プライドが高い ⑪自己中心的 ⑫怒りっぽい ⑬周りを気にする ⑭変わっている ⑮理屈っぽい ⑯意見が言えない ⑰短気な

 

⑱負けず嫌い ⑲あきらめが早い ⑳優柔不断

これらも見方を変えると…

 

 

⑩自分に自信がある ⑪自分の考えがある ⑫素直に心を表現する ⑬心配りができる ⑭個性的な ⑮思慮深い ⑯争いを好まない ⑰判断が早い ⑱向上心がある ⑲切り替えが早い ⑳よく考える

このようなことをを「リフレーミング」と言うんだそうな。自信を喪失しがちな生徒の気持ちを前向きにさせるためのものだと言う。これを読んだ筆者も結構勇気づけられたりして…。

 

生徒に話をするとき、どうしてもその生徒の気になる点(ここで言う「短所」)にばかり目が行ってそれを注意しがちです。しかし、一見すると短所に思えることが見方を変えれば長所ととらえることができる…。生徒を上手に育てるには、このことを常に意識し、短所だと思うことがあっても長所として認めてあげる姿勢を持ちたいものだと改めて思いました。