少々大げさなタイトルを付けましたが、今回アップしたページはその名に恥じない価値のあるものだと思っています。特に、日本の英語教育史を研究なさっている方には、「こんな資料は初めて見た!」と驚いていただけるでしょう。一方、筆者の勤務校の内輪の話でもあるので、関心のない方にはまったく価値のないものかもしれませんが、普通ではありえない記事ですので、それを書いた人(筆者ではありません)の気力と労力には脱帽されるでしょう。
その資料とは、筑波大学附属中学校の前身である東京高等師範学校附属中学校、いや開校当時は高等師範学校附属尋常中等科の初年度(明治21年)から現在に至るまでの全英語科教員65名(常勤のみ)のリストとそれぞれの教員がどのような人物であったかを解説した記事です。勤務校で10年前まで副校長をなさっていた山口正先生(社会科)が、2007(平成19)年から発行し続けている『附属中学校 卒業生列伝』というA4判一枚の記事(2019年10月5日現在で644号まで発行)の中で、一時期『附属中学校 教官伝』というスピンオフ作品を発行されていたのですが、その中の「英語科編」という22回分(22枚)を山口先生の許可のもと「英語科教官列伝」として公開することにしました。
この記事のすごいところは、先述のとおり全教員の名前と各人の着任年及び離任年を調べあげた上に、最初から50人目までの全教官についての記事があることです。それぞれの教官が英語教育にどのような貢献をしたかはもちろんのこと、中には個人的なエピソードが書かれている人もいます。山口先生は以前からたくさんの本を読むことで校内では有名でしたが、読んだ本の内容をすべて覚えていて、各書籍から得られた情報を有機的に結びつけて記事を書いています。例えば、各教官の著書の内容を覚えているだけでなく(社会科の先生でありながら、門外漢であるはずの他の教科のこともよく知っています)、卒業生の著書に中学時代の思い出が書かれているとそれを覚えており、その中に書かれていた当時の教官のエピソードなども記事のスパイスとして使われているのです。ちなみに、山口先生のファイルには参考にした本のリストもあるのですが、それを数えてみると、「教官伝」用が約1,300冊、「卒業生列伝」用が約2,500冊もあります。それらの多くは本校の同窓会館の書庫に寄付されました。いやはや、恐るべしです。
件の「英語科編」は、「校長編」(7回。)、「国語科編」(11回)、「社会科編」(9回)、「保健体育科編」(13回)に続いて、2009(平成21)年10月1日から順次出されたものです(その後、残りの教科分もすべて発行されました)。中には英語教師なら知らないとモグリだと言われてしまいそうな有名な先生や一般にも広く知られているエッセイストになった先生もいますが、一方で現在にも通ずる日本の英語教育の礎を築きながらあまり知られていなかった先生の偉大な業績も紹介されています。また、歴史の教科書にも登場する有名な英国文化人が外国人講師として務めていたという事実も本記事の中で初めて明かされています。
実は、約1ヶ月後に迫った今年度の研究協議会(11月9日)の発表では、「新学習指導要領を踏まえた指導のあり方(3)-変わらないこと、変えてきたこと、変えていくこと-」という発表を行いますが、その中の「変わらないこと」の一部は、本記事の中に書かれていることとも共通しています。それほど貴重な記事ですが、山口先生のご厚意で、研究協議会に先行して公開します。
実際の記事は、こちらで1枚ずつ独立したPDFファイルになっていますので、ダウンロードしてお読みください。また、項目のトップページでは、歴代教官名にリンクを貼ってありますので、教官名から該当の記事のある号のPDFファイルを読むこともできます。ぜひお楽しみください。(10/10/2019)
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