今週水曜日(3/20)の朝刊を読んでいたところ、教員採用に関するある記事が目にとまりました。教員採用試験の受験者を増やすために、大学院で支給されている奨学金を教員になれば免除されるという制度を始める方向で話が進んでいるという内容でした。専門性の高い学生の採用試験受験者を増やすことが主な目的だということです。
この記事を読んで、現在奨学金をもらいながら大学院に通っている学生で教員を目指している人にとっては朗報であろうと思いました。しかし同時に、はたして教員志望者増加にどれほどの効果があるのだろうかという疑問もわきました。なぜながら、教員志望者の多くは4年生大学を出てすぐ教員になる人だからです。
大多数を占める4年生大学の卒業生を彼らの当初の希望どおりに教員採用試験に向けさせたいのなら、学生の本音を聞くべきです。教職を志望しながら結果的に教員採用試験の受験を見送った学生の多くは、自分は教員としてやっていける自信がないと思っていたのです。昨今の報道等で教職現場はあまりにも忙しく、難しい保護者対応などもあって、“ブラック”だと思われています。「教員にはなりたい。でも、そんな現場でやっていける自信はない」が教員志望をあきらめた人の本音なのです。
その本音に対してそれを改善する方策を採らずに、給料を上げるだの、奨学金を免除するだのという“小手先”の対策を執っても教育現場は何も変わりません。そのような小手先の対策に踊らされて教員になった人は、結局は現実に耐えきれなくてやめていくということが今後も想定されます。どうして政府はもっと抜本的な改善を図らないのでしょうか。
では、“抜本的”な改善とは何でしょうか。それはもう明らかです。“ブラック”だと思われている状況を改善していくことです。それには、➀教員数を増やすこと、➁仕事の分業を進めること、の2点が必要です。➀は、日本の学校における教員数の少なさは先進国でも最低レベルであることは周知の事実です。これを改善しないかぎり、教員の忙しさが軽減されることはありません。➁は、日本の教員は他の国の教員に比べて明らかに何でも抱え込みすぎです。他の先進国では生徒指導、部活動指導、事務作業などは教員以外が担当することが多いことを考えると、日本でも教員の本務である教科指導に専念できる制度に変えないかぎり、教員の負担感が軽減されることはありません。
小手先の対策の先にはこれまでとは何も変わらない未来しかありません。しかし、抜本的な改善がなされれば、現場の教師自身から明るい声が聞こえてくるはずです。そのような声が多数聞こえてくれば、教員志望者は増えます。そして、優秀な学生も集まるはずです。もちろん、それには多額の予算が必要です。国家予算に占める教育予算の少なさは先進諸国の中でも突出していますから、増やすことは十分に可能なはずです。政府には、教育に予算を割かない現状は日本の最大の恥だと真剣に考えてほしいと思います。(3/23/2024)
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