筆者の37年間の教員生活のエピソードを振り返る話の第5弾です。
教職4年目を迎えるところで、高校畑から中学校畑へ異動しました。正確には“異動”ではなく、“退職”&“再就職”でした。それは県の教育委員会管下から国立大学の管下に移ったからです。したがって、今回の“異動”にあたっては退職願を書きました。
さて、職場が変わって最も大変だったのが生徒指導でした。それは、高校生と中学生では基本的に生徒指導の方向性が異なるからです。高校生はやはり大人に一歩近づいているので、生徒指導は基本的に彼らがやりたいことを支援していくことが中心となります(もっとも、生徒指導が大変な高校に勤めていたのでそれ以外の“生徒指導”の方が多かったように思いますが…)。少し簡単に言うと、大人として付き合っていけば済むことが多いのです。
しかし、中学生は高校生に対するような指導をしていると大変なことになります。特に中2くらいになると反抗期が始まるので、何も手を打たないとどんどん荒れていってしまいます。つまり、中学校では生徒を「育てる」つもりで日頃から何らかの手をどんどん加えていかなければなりません。そうすることで、ようやく生徒個人や学級集団が安定します。
中学生と高校生のちがいは、高校から来た教員からするとまさに“異文化“、いや“異星人“との遭遇と言っていいほどでした。この感覚は何も筆者だけが持つものではなく、高校教師から中学校教師へ転身した人の多くが持つようです。
この辺りのちがいへの対処方法が高校出身の教員にはわからないことが多く、高校出身の教員に中学校の生徒を持たせると学級崩壊が起こるという話を聞きます。例えば、最近は県立高校に附属中学校を併設する例が増えてきましたが、ある県立高校の附属中学校で高校畑の教員ばかりで中学校の担任団を組ませたために、その学年が学年崩壊したという話を聞いたことがあります。
筆者の場合、自分以外の教員が全員公立中学校出身の教員だったので上記のようなことにはなりませんでしたが、それでも自分が受け持つクラスの生徒たちが個人としても集団としても他のクラスに比べるとうまく育たなかったように思います。特にそれは生徒同士で活動する場面などに現れ、例えば学級活動や学校行事などではあまり意欲的な活動をさせることができませんでした。
今だから言えるお恥ずかしい話ですが、中学校教師としてどのように生徒に接していけばいいのかの感覚がつかめるまでに15年以上かかったように思います。つまり計18年以上かかったわけですから、教員生活のほぼ半分が過ぎようとするまでそのような状態でした。もちろんそれは筆者の柔軟性の無さと勉強不足が原因であったのですが、高校の教師としてスタートしたことが中学校教師としての成長度合いに大きな影響を及ぼしたことはまちがいないでしょう。(5/21/2022)
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