四半世紀続く定番

本ホームページのあちこちに「四半世紀」ということばが使われています。それは、筆者が現任校に務めて今年で27年目なので、少なくとも現任校で25年以上続けていることがあるからです。実は、教員になってから37年間ずっと続けていることもあるのですが…。

 

さて、タイトルの意味するところは、「定番」といことですから、筆者だけが25年間続けているということではなく、英語科全員または多くがやり続けていることを表しています。それは、今回「新文型のオーラル・イントロダクション」のコーナーでご紹介する「接続詞 when ~ の文」の導入です。

 

オーラル・イントロダクションと言えば、たいていは各教師の興味・関心や過去の経験によって場面設定や教材が異なったものになるのが普通です。筆者の場合はできるだけ“ユニバーサル・デザイン”になるような指導法を心がけていますが、それでも自分が考える最も良いと思う場面や教材を使うので、そう思わない教師には使いにくいものになっているかもしれません。しかし、今回ご紹介する「接続詞 when の文」の導入は、まさに誰もが場面設定も教材も同一のものを使って行えるものです。それは、教科書のあるページの写真と本文をそのまま使うからです。

 

本来、「オーラル・イントロダクション」とは、ハロルド・E・パーマーが提唱した「オーラル・メソッド」(Oral Method)という教授法の中で、本文の内容を口頭で導入することを指しています(したがって、新文型の導入を指して言う場合は「新文型の~」と断る必要があるため、本HPでも項目名を「新文型の~」としています)。今回のオーラル・イントロダクションはまさに新文型の導入と本文の導入を同時に行えるという優れものとして、今から25年前の平成8年度発行の教科書に採用されたものです。

 

その教科書教材は、東京書籍の平成8年度版 NEW HORIZON、2年生の Unit 4: Starting Out です。同教科書にこの改訂版から採用された "Starting Out" というページは、まさに本文を導入することが新文型の導入になるというスタンスで採用されたものでした。ところが、当時はまだそれまでどの教科書会社の教科書でもそうであった、ある程度読む量がある英文があることが「本文」だという“常識”があったので、この "Starting Out" というページの登場は現場に大きな衝撃を与えました。実際、前回の改訂まで破竹の勢いで採用数を伸ばしていた同教科書の採用が、この時にガクンと落ちたという事実があります。

 

ちょうど当時、同教科書の編集委員に新しく採用されて次の教科書の編集会議に出始めていた筆者にも、編集部や営業がどうやってこのページの趣旨を全国の先生方に伝えたらいいかということに苦労していたのがわかりました。今ではこのようなページはどの教科書にもあるので、若い先生方にはピンとこないかもしれませんが、当時は編集員会の中にも「あまりにもドラスティックに変えすぎたか…」という空気が流れていたものです。それだけ”エポック・メイキング”なものだったというわけです。そして、それが正しかったのが後年立証されました。 

 

余談が長くなりましたが、このページが「四半世紀の定番」だと言うのは、筆者の学校では筆者だけでなく他の教員も「接続詞 when ~ の文」の導入にこれを使っているからです。おかげで、このページに使われている6枚の写真のピクチャー・カードは長年の使用でかなりくたびれてしまっています。その後、平成14年度、18年度、24年度、28年度、令和3年度と教科書が新しくなる度に新しいピクチャー・カードを購入していますが、このときのセットではこの6枚だけがずっととってあるのです。

 

もし、今回ご紹介する当該ページの指導過程を読んで、ご自身でも使ってみようと思われた方はぜひ実行なさってみてください。きっとなぜ筆者の勤務校で“定番”となっているのかを実感していただけるでしょう。少なくとも、筆者は毎回これを使う度に生徒がよく食いついてきて、しかも場面設定がよくできて導入する文もシンプルで練習しやすい、ということを感じています。

 

なお、そのような先生方のために、今回ご紹介するピクチャー・カードのカラー写真をJPEGで載せておきます。ご自身の勤務校のカラー・プリンターなどで印刷してお使いになってみてください。ただし、大きくてコピー機でスキャンできず、スマホで撮ったものなので、あまりよく写っていません。まあ、「ないよりまし」程度で使ってくださいね。

 

では、ご検討をお祈りします!(8/21/2021)

 

「つぶやき」に戻る

「ホーム」に戻る