今年も来週から3週間の教育実習が始まります。若いエネルギーに満ちた学生達と触れあうことは、教師としての楽しみの1つでもあります(その分、余分な仕事が増えますが…)。筆者の勤務校(以下「本校」)は教育系の学部を持っている国立大学の附属校なので、教育実習を「学校の使命」の1つとして行っています。ただし、その実習を希望する学生の数は年々減ってきており、かつては全教科合わせると50名以上いたのがここ数年は十数名になってしまっています。
この傾向が益々強まったのは筆者が研究部長をしていた平成25年度~平成28年度の頃でした。立場上何度か大学で行われる教員養成に関する会議に出たのですが、その会議で最初の年に大学全体で250名くらいいた教職希望者が最後の年には150名くらいまで減ってしまったことが話題になりました。しかも、減ってしまった分の多くは中学校の教員になろうとする人で、その影響が本校で教育実習をしようという学生の数にも表れていました。この現象を目の当たりにして、貴重な人材を育てるために現場として何ができるのかということを改めて考えさせられました。
一方、筆者は平成26年度~平成30年度までの5年間(実際は4年半)に本校の親大学とは別の国立大学の教育学部で「英語科指導法」を非常勤講師として担当していました。同大学では英語科指導法が「A」~「D」の4講座あるのですが、そのうちの入門期にあたる「A」と「B」を担当していました。つまり、現場に学生を送る側の人間として学生を指導したというわけです。授業では、教育実習を行うまでに身につけておくべきこと、そして教師になってからも大切にしてもらいたいことを授けるつもりで指導にあたりました。
学生は教育学部の英語専攻生の他に他専攻の学生もおり、さらに他学部で英語教師の資格を取ろうという学生も受講していました。学生数は少ない年で40数名、多い年では70数名もいました。そして、そのうちの約半分は小学校の教員免許を取ろうとしている学生でした。小学校で英語科が新設されようとしていた時期と重なりますので、おそらく英語の教員免許を取得することは就職(教員採用試験)にも有利に働くだろうとという思惑もあったのではないかと思います。
専門の授業ということもあり、学生達は毎回しっかり取り組んでくれました。半期15回、全期30回の授業のほとんどの会で事前課題を提出させ、ほぼ毎回グループ・ディスカッションを行い、全員にレポーターとして発表をさせたり、マイクロ・ティーチングを経験させたりしましたが、ほとんどの学生が毎回の授業に熱心に参加してくれました。
そんな中で、なぜか一番濃い付き合いをしたのが初年度に教えた学生達でした。自分が初めて教えるために力が入っていたからかもしれませんが(もちろん、以降の年をいい加減にやっていたというわけではありません)、その中の数名とは授業年度が終了してからも付き合いが続き、彼らが卒業する際には「お礼」と称して筆者の学校まで遊びに来てくれたり、教員になってからも何度か筆者の公開授業を見に来てくれたり、「同窓会」の名目で食事会を開いてもらったりということがありました。こういう点は大学教員としてのやりがいを感じる点なのでしょうね。
本ホームページを作成するきっかけとなった病気休暇と校内の立場の変化により、平成30年度後期よりその仕事から離れていますが、どこかの大学で機会をいただけるのであれば、英語教師の“卵”を育てるこの仕事をまたやってみたいと思っています。それは、後進を育てる仕事は教師にとってはこれほど嬉しいことはないと思えるほどの“自己実現”の場の1つだとも感じているからです。(5/15/2021)
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