4. 話を効果的にするための留意点

話す内容もしっかり考えました。話し方も工夫するように準備しました。では、これだけで大丈夫かと言えば、そうではありません。これから話そうということを生徒の心にストンと落とすには、これら以上に大切なことがあります。最後にそれについてお話ししましょう。

 

それは、生徒との良好な人間関係が構築されていることです。

 

英語の授業を効果的なものにするための最も大切なこととしてもあちこちで述べていますが、対人の活動-つまり授業-をする上で人間関係はとても重要です。特におそらく人生の中で最も対人関係に敏感な時期の中学生(人間関係が理由で不登校になる生徒が小学生や高校生と比べて断然多いことからそれがわかります)に対して、彼らの心を動かすような話をするには、教師が生徒の信頼を得ていなければなりません。

 

同じ話をしても、生徒との人間関係によって、「確かにそうだな。自分の行動を見直してみよう」と生徒が思う場合もあれば、「うるせーな。そんなこと知るか!」となる場合もあります。このちがいは、平素から教師と生徒の人間関係がしっかりできているかによります。したがって、自分の伝えたいことを効果的に生徒に伝えるためには、それ以前に生徒との良好な人間関係、つまりここでは「信頼関係」が築かれている必要があるのです。

 

ただ、現時点でそれができていなくても、あるいはできているか心配しているような場合でも、このページを読んでいる先生はそれほどの心配はいらないでしょう。それは先生が「自分も生徒に効果的な話をしたい。そのためには何をしたらいいだろうか…」と思ってこのページを読んでいらっしゃるにちがいないからです。おそらく、ここまでの記事をお読みになって、先生もこれから話すことをしっかり考えて準備しようと考えていらっしゃるでしょう。そうして話すことが増えれば、それによって先生が生徒により一層信頼されるようになります。

 

ここが大切なのです。「生徒が聞く耳を持たない話」では教師がいわば“負のループ”に入ってしまっていることを指摘しましたが、教師が毎回よく考えて話をするようになれば、段々とそれが“正のループ”になっていくはずです。そうなればしめたものです。生徒が話をよく聞き、話に参加し、そして行動が変わってくれば、先生の話もそれを受けてどんどん生徒にとってよいものになっていきます。ぜひ、努力を続けていってください。

 

E. おわりに へ 

◇本コーナーのトップページ

◇ホームへ